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オイルフィニッシュ、ソープフニッシュ、ラッカー塗装、ウレタン塗装、ひとくちに家具の仕上げ方といっても様々な方法がある。 ヴィンテージ家具の場合、木の種類や形、状態、用途に合わせて最適な方法を選び仕上げをする。 そんな中でも、特に技術と経験を有する仕上げ方法が、スプレーガンを使用したラッカー、ウレタン塗装だ。 噴射する量、距離、角度をコントロールしながらに適度な艶を木部に与えていく高度な技術。

そんな家具の表情、機能に大きな影響を与える大切な作業を一任しているのがHIKEアトリエ責任者でもある宮下。 塗装をする上で気を付けている事やこだわりを聞いてみた。

「一番気を付けているのは艶感です。艶がのりすぎればテカテカしたケミカル素材の様な仕上がりになってしまうし、艶がなければ保護膜としての効果が薄くなってしまう。その中間を常に意識している。素材、家具の使用目的によってその中間は多少前後します。同じ塗装はほんどなく、ひとつひとつの家具と対峙して最適なポジションを探しています。塗装後は自然光に照らし様々な角度から均一に塗られているかを入念にチェックし、納得がいかなければ、また表面を削りやり直します」

「塗装を始めた頃、エアーガンを手に持って角度を保ったまま水平に動けるように足の運び方を覚えました。今度を一筋のラインを描くように上下にまっすぐ下ろす。エアーガンを使ってエアー塗装をしてました(笑)。次にサンプル板に塗装しそれを削り直しそれを何度も繰り返し体に叩き込みました。おかげで体幹も鍛えられたと思います」

「当たり前のことですが、スプレーガンをとてもデリケートに扱っています。塗装が終われば全てのパーツを取り外し隅々まで洗浄しないと、中で硬化して思う様に塗料を出す事ができないから。道具のメンテンンスはとても重要で、それなくして最上の仕上げと効率化はうまれないと思っています。塗装に関してはもっと良い塗料、やり方があるんじゃないかと材料屋さんに情報を教えてもらいながら日々研究してます」

塗装作業の日、アトリエは緊張感に包み込まれる。この工程がうまくいかないと、ここまで積み上げてきたサンディング、タッチアップ、着色作業が台無しになってしまう。宮下ひとり、手元のガンとコンプレッサーを微調整しながら、カーテン向こうでシューシューと小気味よい音を立てながら家具と対峙している。



記者:谷山

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JOURNAL ON 5TH JUNE 2017

INTERVIEW WITH HIKE ATELIER MANAGER TALK ABOUT FINISH