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ポール・ヴォルザーによるダイニングチェアJ61。ヴォルザーはボーエ・モーエンセンが指揮をしたFDB Moblerの後を引き継いで活躍したデザイナー。実直な佇まいは耐久性と生産効率が考慮されたモーエンセンが手掛けたシェーカーチェア(J39)とも共通するところがある。この椅子をよく見てみれば、良質な家具でデンマークを豊かにするというFDB Moblerの思想が垣間見えるでしょう。

まず、気になったのは脚に貫がまったくないこと。構造体として多くの椅子には脚と脚を繋ぐように貫が前後左右に備わるのがスタンダードだが、座枠を広くすることで強度を確保しつつ、軽やかな脚元を実現。それは同時に資材の削減にもつながり、コストカット、現代的な解釈で言えばエコロジーな椅子と言える。機能的には貫が無いことで座った際に足を座面下に潜り込ませても開放的でストレスを感じないメリットもある。より簡潔な構造になることでより意匠バランスが大切になるが、ご覧の通り素晴らしい完成を持って構成されている。後方から見てみれば後脚は僅かに内に角度をつけられおり、シャープな印象を与えている。椅子はテーブルに収めてしまえば意匠の肝はバックショット。細かな配慮までゆき届いている点にはヴォルザーの美意識の高さが伺える。

さっそく腰掛けてみる。座面はフラットでゆとりもあるため、体格を選ばず、かつ姿勢の自由もきく。前方に向かって腰かける他に、テレビを見るために斜めに座ったり、片足をあげたりと食後もダイニングで寛がれる時間が長い方には喜ばれそう。また、クッション材入りのシートはお尻あたりがソフトで、僅かに後方に角度が付けられていますから自然と上体は背もたれへ。姿勢を色々と試しながら背もたれに体を預けていると、2本の笠木の秀逸さに気付かされた。どの姿勢でもどちらかの笠木が上手に背中にフィット。食事をとるときは姿勢よく深く座ると下の笠木が、食後の団欒には浅く腰を前方に座り直すと上の笠木が背中を支えてくれる。笠木のカーブもちょうどいいから、力を開放してじっくり寛げるでしょう。

座面の生地、内部クッション材は交換済み。オーク無垢材の表情はきれいな飴色に経年変化し、表情のあるグレーファブリックとも良好な関係性を築いている。4脚セットでの販売(@40,000×4)。


次世代へ接続可能な家具として蘇らせました。
フルサンディング(研磨)によって劣化した塗装シミ、傷、汚れを除去し、その後、耐水、耐退色効果のある特殊な素材を浸透・硬化させ、トップコンディションの状態である「ハイク・クオリティ」まで仕上げを施しました。ご購入後、中材交換、生地張替え、木部のアフターケアもご対応します。木材の詳細はこちらをご覧ください。


コメント : 中島


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Chair Set
17D09-0019
W510 D500 H810 SH450 配送料金 Cランク / 2脚
Pool Volther / FDB Mobler / Denmark / 1960's / Oak Wood
160,000円(税込176,000円)