JOURNALNews, Feature, Our Neighborhood And more

JOURNAL / OUR NEIGHBORHOOD / COW BOOKS



今回のOUR NEIGHBORHOODは、ハイクより中目黒駅方面に歩いて5分、前回ご紹介した. . . . . Research GENERAL STOREと共に、目黒川沿いのカルチャーを席巻してきたブックストア”COW BOOKS"店長の吉田茂さんにお店についてお話を伺った。

谷山:
お店の始まりを教えて下さい。
吉田:
COW BOOKSは、文筆家で"暮しの手帖"の元編集長である松浦弥太郎と、お隣のお店". . . . . Research GENERAL STORE"のデザイナー小林節正が「本を通して自分達らしいメッセージを売るお店」をコンセプトに始めたお店です。オープンは2002年、今年で16年目になります。
谷山:
店名の由来を教えて下さい。
吉田:
この場所は、元々小林が1999年から「WIN A COW FREE」というお店をしていて、その店名の一部を引き継いだもの。 ちなみにお店の内外装も当時の雰囲気を残しほとんど変わっていません。店名には、牛の歩みのように、落ち着いて着実に進んで行きたいという意味が込められています。 また、昔から人間は牛と寄り添い生きてきて、彼らから様々な恵みを与えてもらっている。 本も同じように、身近で恵みを与えてくれる存在という点でリンクする為、この店名になりました。 一度聞いたら忘れないインパクトのある店名のおかげで、すぐに覚えてもらえます。
谷山:
お店のある中目黒はどんな街ですか。
吉田:
都会的な一面もありながら目黒川や桜並木など自然も感じられる心地良い街。何より、川を眺めながら仕事ができるのは最高ですよ。
谷山:
どのような方がご来店されますか。
吉田:
子供からお年寄りまで、年齢層はとても幅広いです。観光客の方や、地元の方、ジョギング、犬の散歩途中に...。本屋さんって、困った時や空き時間に とりあえず立ち寄ったり、近隣のオススメのお店を聞いてみたり、どこかその街のキーステーションのような存在で、誰もが安心して気軽に立ち寄れる場所で ありたいと思っているので、色々な方に来ていただけるのは嬉しいですね。僕も、知らない街に行くと先ずは個人経営の本屋を探しますよ(笑)
谷山:
店頭に置かれる本はどの様にセレクトしていますか。
吉田:
主に1960年代から1980年代の古書が多いですが、ジャンルも様々で小説、雑誌、写真集、洋書、児童書など幅広くセレクトしています。 実際にお店に入ってきた本には目を通し、自分達が読んでみて、いいなと思えるもの、共感できるものを店頭に並べます。 専門的な知識がなくても気軽に読み始められる本を置く様にしています。
谷山:
店頭に並べる際に気をつけている点は。
吉田:
扱っている本が古書ということもあり、本自体を綺麗にする事はもちろん、本棚の掃除、背表紙をキッチリ合わせるなど、スッキリとした空気感を出せる様に意識しています。
谷山:
吉田さんのおすすめの1冊は。
吉田:
イラストレーター安西水丸さんの「日々」です。内容は、水丸さんの机まわりにある大切にしている物のイラストと共に、短い言葉が添えられた暖かみのある画文集です。 この画文集は、2011年に催したイベント”リトルプレスフェア”の展示作品で昨年、COW BOOKSから初めて出版することができた、とても思い出深い1冊です。
谷山:
何をされている時が一番満たされますか。
吉田:
ん〜何だろう。1日が終わって眠りに落ちる瞬間かな。その日にあった出来事を振り返って、明日がどんな日になるかを考えている時が一番満たされますね。
谷山:
最後に、ご自宅ではどういった家具をお使いですか。
吉田:
お店にも8脚ほど置いていますが、イームズのウォールナットスツールは自宅でも愛用しています。 他の家具も基本的には、新品で購入したものはなく、古いものや人から引き継いだものが多いです。 捨てられずに引き継がれるという事は、その物に特別な意味や魅力があるという事だと思うので、そういった物に自然と惹かれます。

牛(COW)のサインにシルバーベースの近未来な外装。一歩店内に入れば電光掲示板に映し出されたメッセージが店内を1周する。装丁、背表紙がきれいに並ぶ本棚にはオリジナル小物もリズミカルに配置されている。中央にはオリジナルで製作したテーブルとイームズのスツールが置かれ、じっくりと本に向き合う事ができる。カウンターでコーヒーを注文すればついつい長居してしまうだろう。古書以外にもオリジナルの牛のロゴが入ったTシャツやバッグ、ブックエンドなど魅力的なアイテムも販売している。どれも書店として、毎日の仕事の中から生まれた実用性の高いものばかり。

今は、電車や空き時間に、本を手に取るよりもついついスマートフォンを手に取ってしまう。ウェブから得られる情報もたくさんあるけれど、ほぼ流し見。一方本は、ページをめくるたびに、指先で紙の質感、古書の香りを楽しみながら、文字から自由に想像を巡らせることができる。吉田さんとのインタビューを終えて読書の醍醐味を再確認。旅先、通勤時間、寝る前など本を読める時間はたくさんありそうだ。まずはあの一冊を読み返してみよっと。




記事:谷山
写真:須摩

OUR NEIGHBORHOOD

JOURNAL ON 15TH FEB 2018

INTERVIEW WITH COW BOOKS STORE MANAGER
YOSHIDA SHIGERU

COW BOOKS WEB SITE