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「あー美味しかったー」 今日も旨味が詰まったスープを一滴残らず飲み干す。完食した体は芯から温まり、満腹感で心と体が満たされていく。今回のOUR NEIGHBORHOODは、 個人商店の多い東山エリアでオススメのうどん屋さん「豊前房」。うどん屋さんらしくない外観からまさに知る人ぞ知る名店。お店、うどんについて 若大将の佐藤克明さんにお話を伺った。

谷山:
まず、お店を始められたきっかけを教えて下さい。
佐藤:
もともとは、初代が19年前に始めたお店なんです。当時、東京においしいと思えるうどん屋が少なかった為自らお店を始めたと聞いています。オープンして1年後にスタッフとして入りご縁があって僕が二代目として引き継ぎました。
谷山:
店名の「豊前房(ぶぜんぼう)」の由来は。
佐藤:
初代の出身地が福岡の豊前という地域の為。自身が生まれ育った家庭の味を提供したいという想いから。
谷山:
お店のある東山についてはどんな印象をお持ちですか。
佐藤:
昔ながらのどこか懐かしい雰囲気を残しつつ、新しいお店や文化もあり、新旧がバランスよく共存している心地よい地域ですね。駅からも少し離れたこの場所は人通りも少なく、落ち着きもある。オープン当初は人が少なすぎて困った時もありましたが。今では、わざわざ足を運んでくれる方も多く、嬉しい限りです。僕も近隣に住んでいるので大好きな場所です。休日も東山から出ない事が多いですよ(笑)
谷山:
看板メニューでもある”豊前房うどん”についてこだわりを教えて下さい。
佐藤:
素材の持ち味を生かし、毎日食べたいと思えるやさしい味を提供したいと考えています。出汁は、豊前で親しまれた風味の良い、いりこと昆布をベースに、麺は岡山産の手延べうどんを使用。手延べうどんは、麺生地を包丁で切らずに一方向に延ばすので、その表面は角がなくつるつると滑らかで、口当たりの良い弾力のあるもちっとした食感が生まれる。麺の上に乗る具材は、秋田産のおぼろ昆布、練り物は下関、おあげは京都と全国各地から厳選した食材を使用しています。素材が良ければほんの少し手を加えるだけで本当に美味しくなるので素材が全てですね。
谷山:
一番大切な仕事道具は何ですか。
佐藤:
ん〜何だろうな。難しい質問ですね。包丁、ゆで麺機、寸胴鍋…どれもないと始まらないから。しいて挙げるなら寸胴鍋ですかね。これがないと出汁が取れないからね。 とは言ってもやっぱり、いつもいるキッチンにある道具はどれも厳選したモノばかりで決められないですね(笑)
谷山:
内装のこだわりを教えて下さい。
佐藤:
僕自身居心地のよい空間をと考えた時に、気張りすぎずちょっとださい感じが良くて何度か改装を経て、現在の形になりました。あとは女性が1人でも入りやすいお店にしたくて。(壁に掛かった素敵な写真や絵は?)カメラマンやイラストレーターをしているお客さんの作品や、画家でもある妻の作品です。
谷山:
何をされている時が満たされますか。
佐藤:
休日のお昼に別の飲食店で美味しいランチに出会えた時かな。やっぱりおいしい食事は人を幸せにしますね。あとは、夫婦揃ってヤクルトスワローズの大ファンなのでスタジアムに行って応援しながらビールを飲んでいる瞬間が最高に満たされます。
谷山:
最後にご自宅ではどういった家具をお使いですか。
佐藤:
昔からずっと使ってるのは、アメリカビンテージの大きなチェスト、G-PLANやTRUCK FURNITUREのソファーなど。北欧家具も好きでアアルトのスツールやヤコブセンのセブンチェア、どれも何年もかけて少しずつ増やしていったお気に入りの家具達です。ウェグナーのYチェアもいつか欲しい…。お店と共通する事ですが、自宅もあまり気張り過ぎない居心地の良い空間にしたいので古いモノや新しいモノをバランスよく取り入れるようにしてます。

ハイクより徒歩1分。店内は打ちっ放しの白い壁にタイル床、オープンキッチンのカウンター、ソファー席など、明るい雰囲気で居心地がよい。うどんで最も大切な出汁は、黄金色に透き通りあっさりと上品な味付け。モチモチ食感の手延べ麺は、とにかくのどごしが良くやみつきになる美味しさ。特に看板メニューの”豊前房うどん”にトッピングされているおぼろ昆布は、どんどんとろみが増し麺に絡み、これまた美味。うどんの他にも、一品料理、多種のお酒、デザート、コーヒーまで楽しむことが出来る。夜も22:30と遅くまで営業しているので仕事帰りにも立ち寄れるのが嬉しい。

「うどん屋さんというよりも、ご飯屋さん」と話す佐藤さんのこだわりの料理は、多くの常連さんを生み「第二の台所」として幅広い年齢層から愛されている。人を良くするって書いて「食」と読むようにやっぱり食事って大切なんですよ。その時間を提供する仕事は最高に楽しいですよと笑顔で話されていた佐藤さんがとても印象的でした。そんな想いの詰まった料理を是非堪能していただきたい。




記者:谷山(ジャーナル担当)

OUR NEIGHBORHOOD

JOURNAL on 28th JULY 2017

INTERVIEW WITH BUZJENBO OWNER "KATSUAKI SATO"

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