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カーテンはもともと窓を演出するものとして誕生したのだそうです。かつてのヨーロッパでは限られた人々にしか叶わなかった住居の設である窓という存在を、より誇張し、より絢爛に見せるための飾りとして用いられていたのがカーテンでした。時を経て窓というものが一般的になるにつれ、カーテンもそれに伴って役割を変化させていき、現在のように外からプライベートを守るための新しい役割を与えられました。遮るという役割を大きく任されたカーテンは機能をより一層拡充させ、遮光、遮音、遮熱とバリエーションを広げています。 機能を伴ったカーテンはその責務を全うし明らかに快適な暮らしを私たちにもたらしてくれるのでしょう。

日本家屋においては、外からの視線を遮るものとして障子がその代わりとなっています。障子は、人々の視線とともに直射日光も適度に遮りますが、貼られた白い和紙は室内に必要な光を取り込むことができるので、日中の室内は光で満たされ明るく保たれます。障子を閉めている間、そこに映し出される庭の草木の揺れる姿に風を見ることも、映る景色の変化によって四季の移ろいを見ることもできるでしょう。外と内とを遮断するのではなく、外と内をゆるやかにつなぐようなその障子の役割をカーテンにも求めたとき、辿り着いたのは薄い上質なリネンのカーテンでした。

細かなドレープで仕立てた薄いリネンのカーテンは、障子と同じように適度な光を取り込みます。カーテンを開けているときよりも一層、部屋中に淡い光が分散し、私たちを柔らかに包み込んでくれるのです。そして夏は惜しげもなく届く日差しとともに、揺れるカーテンの姿によって吹き抜ける風の存在を知らせてくれますし、冬は温かな光を取り込みながら、天然繊維の吸湿機能によって空間の湿度を快適に保ってくれます。 外と内とがゆるやかに繋がれる中で、光の存在と同じく、自由に出入りするのが風です。そして、部屋の中にいる私たちの前に風たちがその姿をしっかりと見せてくれるのは、カーテンという存在を経由してのことです。カーテンが揺れることで、私たちは肌で感じた風の姿をしっかりとこの目に見ることができます。目に見えない風が、気づかぬうちに私たちの頬や腕を撫でながら通り抜けることに比べると、それと同時に目の前でカーテンが揺れるさまを見ることによって知る風の存在は、より確かで大きなものになるのです。

暑い夏の日差しが容赦なく差し込んでくる部屋の中。全開にした窓からは少し乾いた風が吹き抜け、気持ちよさそうにそよぐリネンのカーテンが、私たちに秋の訪れを音もなく知らせてくれます。




テキスト / 守屋 / @yukina.moriya

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JOURNAL ON 2ND SEP 2021

外と内との間で