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フレンチのアンティークを想わせるダイニングキャビネット。デザイナーはスウェー デンの巨匠カール・マルムステン。古い文化を大切にしながら、時代に合わせた新し い解釈を得意とし、木材に対する理解も高い。こちらはその特徴が余すことなく表現 されていると言ってもいいだろう。設計された時期は円熟味の増した晩年。若いころ は贅を凝らした華美なデザインが目立つが、角がとれ、素朴さがあるため素材の持つ 魅力をより感じ取ることが出来る。

独特の存在感を放つ要因となるのが、全ての扉に無垢材を使用していること。突板で は表現できない立体的な造形はもはや美術工芸品。美術やアートに対する関心も高 かったマルムステンならではの意匠と言えるだろう。それだけに留まらず、無垢材に よってオークの力強い木目も豊かに表現できている点は大きい。経年変化し、深みが 増したことでその特徴は一層確かなものになっている。さらに各扉には真鍮製の鍵が 備わる。緑青(りょくしょう)により独特のくすみが出たプレートに鍵穴が空けらた このパーツは、既製品でなくマルムステンのオリジナルでしょう。意匠に対するこだ わりの深さが伺える。

上台の扉を開くと仕切りが細かく設けられ、細かな食器類を区別しながら収めて置け る。小さな2枚の棚は可動式。中央の引出しは仕切りがなく凡庸性がある。ご自身で トレーを用意してカトラリーを収めたり、プレスマットやナプキン類などの収納に丁 度いい。中央のツマミを引っ張るとガタガタすることなく軽い力でスムーズに出し入 れ出来る。下段の扉内部は、厚みのある大きな可動棚が2枚。大皿などが沢山入りま すから、友人、家族を招いての食事会が多い方には重宝しそう。脚は太く短め。控え めに付けられたカーブは、猫脚のような色気を感じる。短く留めているのは、収納量 を最大限確保しつつ、どっしりとした本体の量感を損なわないため。そうそう、目線 を上に戻してただくと上台の天面も綺麗に仕上げられているのも見逃せない。吹き抜 けの2階からダイニングが見下ろせる、なんて方には嬉しいポイントですが、普段の 生活では見えないディテールにまでも抜かりない造りはタメ息ものです。

上台、下台に分けて運搬できる分割式ですから搬入の心配はご無用。下台側から固定 できる仕組みのため転倒の心配もない。別ページでご紹介予定のテーブルセットを組み合 わせれば完成度の高いダイニングシーンが構築できる。

次世代へ接続可能な家具として蘇らせました。
フルサンディング(研磨)によって劣化した塗装シミ、傷、汚れを除去し、その後、耐水、耐退色効果のある特殊な素材を浸透・硬化させ、トップコンディションの状態である「ハイク・クオリティ」まで仕上げを施しました。ご購入後、中材交換、木部のアフターケアも対応します。


コメント : 中島(ショップスタッフ)

Cabinet
16D06-0038
W1170 D460 H1750
Carl Malmsten / Mobel Komponerad / Sweden / 1960's / Oak wood
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