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JOURNAL / FROM HIKE / なぜ生地を張り替えるのか



北欧ヴィンテージ家具の最も特徴的なところは良質な木材によって構成されていること。木部は丁寧にメンテナンスすることで見違えるほど美しい姿を取り戻すことが出来る。一方でおよそ50年の役目を終えた椅子やソファのファブリックは摩耗し、ウレタンフォームは反発力が衰え、表面は硬化してボソボソと粉っぽい。ヴィンテージという製品の特性から当時のオリジナルファブリックやパーツを大切に想う考え方もあるが、ハイクでは衛生面を含め、家具としての機能や本来の意匠性を再び蘇らせる為に消耗品は新たに交換することにしている。

張替の工程はまずファブリックの選定から。一台ずつよく観察し、沢山のファブリックサンプルから慎重に検討していく。色味、素材感、立体感、光沢感などあらゆる点に注意しながら、現代のコーディネートにもフィットするよう生活シーンまでイメージを膨らませるよう心掛けている。ファブリックは上質なインポート中心にラインナップ。1950年代当時から続く伝統的なものから、時代の先端をいくモダンなデザインまで様々なバリエーションがあり、選定は意匠を大きく左右する重要な工程。

張替作業は国内の椅子張り専門の職人によって行われる。細部の縫製方法からクッション材の選定、弾力の強さなど密に打ち合わせを重ねてクオリティを追求。半世紀前のデザイナーと職人がそうであった様に、私たちも職人としっかり意見交換し、時間をかけて信頼関係を構築してきた。熟練の技術により、真っ直ぐ縫うべきところはブレることなく真っ直ぐに美しく縫製され、ベアチェアの様な複雑な曲面も手縫いによりシワなく仕上げるテクニックは"ハイククオリティ"の重要な一端を担っていると言っても過言ではない。

こうして張替を終えると座り心地は見事に改善し、本来の機能を取り戻す。新たに交換したウレタンフォームやウェービングバンドは適度な弾力により体をサポートしてくれる。因みにクッション内部にコイルスプリングが使われていた場合は調整後に再利用し、フェザーや古典的なクッション材である馬毛やパームなどの天然素材も同様に天日干しして再利用。オリジナルパーツは出来る限り再活用するよう配慮しています。



ハイクにてご購入いただきましたお客様へ。

長年のご使用によりファブリックやクッション材の交換が必要に思いましたらハイクショップまでご相談を。ハイクにてセレクトした沢山のインポートファブリックからお好の生地をお選びいただき、同時にウレタンフォーム・ウェービングバンド交換、フェザーの追加、レザーの穴あき修理などにもご対応いたします。硬さの異なる6段階のウレタンフォームをご用意し、ご希望の硬さをお選びいただけます。その際に、ソファや椅子の木部フレームのクリーニング、補修なども行えば、ご購入時同様の美しさが蘇ります。プロスタッフが末永くサポートさせていただきます。


記者:中島


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FROM HIKE

JOURNAL ON 30TH JUNE 2018

ハイクメンテナンスレポート