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Kjellerup Vaeveri(ケアロップ・ヴァヴェリ)社は、デンマークユトランド半島にある人口5000人にも満たない小さな町ケアロップにあるテキスタイルメーカーで、1950年にSvend Otto Kristensen(スヴェンド・オット・クリステンセン)によって設立されました。創業70年を迎える現在は、息子のポールと妻のヨナによって創業当時から変わらないデンマーク国内製造にこだわった高品質な生地を製造し続けています。その上質でデザイン性の高い生地は、北欧屈指の家具メーカーPP Mobler、Carl Hansen & Son、Firtz Hansen、Getamaなどに支持され国内で唯一、純デンマーク製のテキスタイルメーカーとして確立しています。

家内制手工業として発達したデンマーク織物の伝統を受け継ぐKjellerupの生地のほとんどは、ウールを用いています。寒さの厳しいデンマーク、ウールは暖を取るという目的はもちろん油分を多く含み汚れが付きづらく丈夫で、経年変化を楽しむ事の出来る木製家具と同様に日常的に使う道具として最も馴染みある素材だったのでしょう。ウールの中でも太い番手の起毛し易い紡毛を使用する事で、生地に空気を含ませふわりとした質感となり、家具全体に柔らかさと暖かみをもたらします。貼りたての生地は、コシのある羊毛がややチクチクとした触感があり、使えば使い込むほどに程よい艶感と滑らかさが生まれ時間を掛けて育てる楽しみがあります。また、普遍的なデンマーク伝統の柄ストライプデザインのラインナップが多く、他のメーカーには無いクラシカルな生地を選ぶ事が出来るのも魅力です。

高品質な生地は、デンマークの巨匠フィン・ユールが好んだ事でも知られ、1950年に設計したニューヨークの国際連合本部ビルにある信託統治理事会会議場の椅子にKjellerupの生地を使用するなど、こだわりの強い著名デザイナーからの要望に答える事で、確固たる地位を築き上げてきました。そのスタンスは現在も変わらず、すべて受注生産という形で素早く、且つ柔軟性をもって顧客対応をすることを心がけています。現在生産しているラインナップの中には、顧客からの特別なカスタマイズも多くあり、伝統を重んじながらも移り変わる顧客のニーズに素早く対応することで成長を続けています。



記者:谷山

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JOURNAL ON 25TH MAY 2020

KJELLERUP VAEVERU HISTORY