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スウェーデンの陶磁器デザイナー、カール・ハリー・スタルハーネ(Carl-Harry Stalhane, 1920〜1990)によるプレート。“Teardrop”(涙のしずく)とも表現される左右非対称のかたちで、スウェーデンの陶磁器メーカーであるロールストランド(Rorstrand)社のために1950〜60年代にデザインされたもの。

スタルハーネは子供のころ画家になることを夢見ていたが、1939年に18歳でロールストランドに入社した。当時のロールストランド社のアートディレクターであり、スウェーデンを代表する陶磁器デザイナーでもあるグンナー・ニールンド(Gunnar Nylund, 1904〜1997)のもと、はじめ絵付けを担当し、次第に陶磁器デザイナーとしてもその才能を開花させる。1958年にはロールストランド社のアートディレクターに就任し、その黄金期を支えた。

スタルハーネといえば、中国宋時代の陶磁器に影響を受けたとされる、繊細な色彩と抑制の効いた優美なシルエットの花器が有名だ。かたちこそ違うが、同様の美学はこの作品からもうかがうことができる。深いブラウンの釉薬は器の曲線に沿って底面へと流れ落ちていき、火によってその痕跡が焼き付けられる。傾斜の急なところでは釉薬の流れは速まり、傾斜が緩やかになれば釉薬の流れも鈍くなる。やがて底面にたどり着いたとき、釉薬はそれ以上流れ落ちることから開放され、そのときの姿がそのまま模様として定着する。スタルハーネの作品では、釉薬の流れを追うことは器の繊細な起伏を味わうことであり、そこからは重力や釉薬の流れるスピードさえも感じられる。ぜひ実際に手にとって、かたちと釉薬が織りなすこの甘美な迷宮に迷い込んでもらいたい。

割れ、欠けなくコンディションは良好ですが、使用感はあります。ご不安な方はご注文前に現物確認をお願いいたします。


コメント : 大塚

Plate
18S06-0163
W205 D162 H34
Carl-Harry Stalhane / Rorstrand / Sweden / 1950's
SOLD OUT