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北欧家具は巧みに組み上げられた構造美と、簡潔な意匠から伝わる木目の美しさが魅力的。その礎を支えるのは木材という地球の恩恵。豊かな自然の中で暮らす北 欧の人々はそんな木材をよく知り、それらを活かす術を古くから養ってきた。それが現代で私たちの前に存在するヴィンテージ家具であり、そこから学び得た知識や感 性で新たな家具を作り出す私たちのビスポーク家具。そこで、今回の記事では家具で用いられる代表的な木材をご紹介いたします。


Teak / チーク シソ科 チーク属:
世界三大銘木のひとつ。伸縮率が小さく、水にも強いため船舶や建材など幅広く用いられる。材質は固く強靭。油分を含み耐久性も高い優秀な木材と言える。赤みのあ る木目で、経年変化をすると独特の深みがあらわれてくる。ヴィンテージ家具ではお馴染みの樹種だが、現代では希少性が高まり高級木材として扱われている。


Oak / オーク(ナラ) ブナ科 コナラ属:
粘りがあり、加工性の優れた樹種。家具やフローリング、洋酒の樽の材料など幅広い用途で使われている。色味は明るめながら木目は力強く表情豊か。また、虎の模 様のようにみえる虎斑(とらふ)が特徴的。産地はヨーロッパ産と日本産が高級とされ、ヴィンテージの北欧家具には贅沢に日本産が使われることも多かった。当店の オーダー家具でも人気の樹種。


Rose / ローズウッド(シタン) マメ科 ツルサイカチ属:
重厚で虫害や対候性があり腐敗せず長持ちすることから、古くより家具や仏具、楽器などに用いられている。深みのある赤褐色に黒い筋が入る独特な木目で、木からバ ラのような甘い香りを放つことからローズウッドと呼ばれている。ヴィンテージ家具に多く用いられているブラジリアン・ローズウッドは、現代では絶滅が危惧されるた めワシントン条約によって輸出入が制限される希少種。


Mahogany / マホガニー センダン科 マホガニー属:
世界三大銘木のひとつ。材質は軽くて硬く、粘りがある。加工性、耐朽性にも優れる優良木材。木の繊維に僅かな光沢を宿し、経年変化の様子も美しいことから黄 金の木とも称され、高級家具や楽器に用いられることが多い。その為、乱伐により数を減らし、ワシントン条約で輸出入を制限される希少種。


Beech / ビーチ(ブナ) ブナ科 ブナ属:
木目は僅かに赤みがかった白褐色。柾目には赤みのある斑点が特徴的。伐採後は反りが激しいため家具には向かないとされていたが、技術の向上により需要が高まった。特に柔軟性を活かして曲げ加工の家具によく用いられており、ブルーノ・マットソンなどの椅子が最たる例。その他にも椅子の背もたれのカーブなどの表現にも適した木材。


Birch / バーチ(カバ) カバノキ科 ビーチ属 :
ホワイトバーチとも呼ばれる程に淡白な美しい木目をもち、反りや狂いが少なく、長年使用しても変色しにくい特徴がある。北欧ではフィンランドのバーチ材が有名。豊かな水と良質な土から生る木材は密度が濃く、柔軟性に優れるため家具では曲木を活かした工法によく用いられる。代表するのはアルヴァ・アアルトのデザイン。


Walnuts / ウォールナット(クルミ) クルミ科 クルミ属:
チークやマホガニーと並ぶ世界三大銘木。木質は重厚で、固く強靭。狂いが少なく加工性にも優れている。落ち着いたダークトーンの木目に艶をまとい上品。その唯一 無二の存在感から人気が高い。当店ではオーダー家具や現行のインポート家具でご提案する機会が多い。狂いが少なく、経年変化も綺麗ですから長く付き合うほどに愛 着が増すことでしょう。


Cherry / チェリー(サクラ) バラ科 スモモ属:
かつては銘木と呼ばれるほど優れた特徴の材。加工性が高く、狂いも少ない。ほんのり赤みのある美しい木目が特徴。丁寧に仕上げられたチェリーは僅かに艶があ り、時間が経ってゆくとみるみる深みが増していく。きめ細やかな木目は手触りも滑らかで、木材にこだわりを持つハンス・ウェグナーの椅子にも度々用いられるほ ど。


Ash / アッシュ(タモ) モクセイ科 トネリコ属:
堅く、弾力性にも優れるため、建材から家具まで幅広い用途で用いられ、野球のバットにも使われることでも有名。明るい木目で、オーク材にも近い印象だがアッシュ の方がきめ細やかな印象。着色性も綺麗に入るので、現行のインポート家具で黒塗装をオーダーするならアッシュがいいだろう。


こうして木を知ることで家具の選び方や付き合い方が変わってきませんか。理解が深まれば選ぶ家具にも思い入れが増し、愛着もいっそう感じられる。「どうしてデザ イナーはこの家具にこの木を使ったのか?」「この部材だけ何で違う種類の木が使われているの?」木を通して作り手との対話を愉しむのこともできる。または、希 少な資源を後世へ譲り渡していく責任感を抱かれるかもしれない。皆様の大切な家具選びにお役立ていただければ幸いです。




記者:中島

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JOURNAL on 28 AUG 2017

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