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JOURNAL / OUR NEIGHBORHOOD / MOUNTAIN RESEARCH



今回のOUR NEIGHBORHOODは、ハイクより中目黒駅方面に歩いて5分、目黒川沿いのカルチャーを席巻してきたお店". . . . . Research GENERAL STORE"。リサーチという名のついたいくつかのプロジェクトを展開する中、主幹ブランドとなるのが"Mountain Research"。その名のごとく、山の暮らしをコンセプトに研究されたウェア、アウトドアギアやファニチャーを展開する、いわば、多岐にわたる". . . . . Research"の山カテゴリー(あるいは山部門)であるコレクションを軸に据えながら、ここ中目黒で長年に渡り営業を続けている。オーナー兼デザイナーの小林節正さんにお店についてお話を伺った。

谷山:
なぜこの場所でお店を始められたのですか。
小林:
当時(1994年)は、山手通り沿いの一室でやってたんですけど、知人の紹介でこの場所が空くけどどう?というお誘いがあったのがきっかけ。 目の前には川があって最高な場所だと思い、迷いなくこの場所にしました。当時この辺りはネジ工場や板金屋など町工場が立ち並び、洋服屋はもちろんお店自体ほとんどなく、夕方の5時以降は灯りが消え真っ暗になるような場所でした。代官山や原宿とは違って、ここだと静かに商売ができるかなと思ったのも決め手です。
谷山:
お店の内装について教えて下さい。また店内で一番思い入れのあるモノは。
小林:
お店のイメージは山小屋。今の前段となるGENERAL RESEARCHのオープン当初は、Tシャツの図柄を変えるようにしょっちゅうインテリアや商品レイアウトを変えていましたが、ここ10年はほとんど変えずこのスタイルです。その頃に感じていた色々新しいものを見てもらいたいというタームから、古くなっていく様子を見てもらいたいというタームに気持ちが切り替わった。思い入れのあるモノは、店内の壁面に描いている絵です。ソビエト連邦時代、レーニンが民衆に向けて演説をしている有名な場面で、当時は各支部にこうした油絵の複製を配り貼っていたという時代背景を知るにあたり、そのパワフルなというか . . . 考えようによっては、むちゃくちゃな(笑)発想が面白いなと思い内装に取り入れました。
谷山:
商品作りの際に大切にされている事は。
小林:
一番大切にしている事は、買ってもらいたい商品を作るのではなくて、買ってもらった方が長い時間軸で愛用できる製品である事。 必要な機能をデザインの為に省くことはせずフルスペックで表現し、締められないベルトや、ボタンなど機能的ではないイミテーションの装飾は付けない様にしています。 根底にあるのは、今まで見てきた製品のここがこうだったらいいのにと感じた事を自分なりに昇華してやり直してる感じかな。 うちのTシャツや、靴下がまさにそうで、Tシャツの首がすぐに伸びてしまうのが嫌で伸びない様に試行錯誤して作ったり、靴下は使ってしばらくすると上の方がクルクル丸まってしまうのが許せなくて長く使えるものを作った。 この2点は特に、ずっと作ってくれている方の理解もあって、上手くプロダクションできた製品クオリティ感が詰まったものと言えるかもしれませんね。
谷山:
最も影響を受けた方人はいらっしゃいますか
小林:
写真家の小暮徹さんです。僕が19歳の時に、とある家の留守番を頼まれていた友人からその家の犬の世話を手伝ってくれれば、その家にあるものを自由に使っていいからおいでよと誘いを受けました。時間もあったし、犬が好きだった事もあって友人の誘いを受けてその家に行くこと事になりました。そこにはオーディオや、映画、書籍、見たこともないものが沢山あってそれはもう楽しい場所でした。その家に出入りしていて2週間たったある日、家主の小暮さんが帰って来て僕に一言

「誰きみ?」

それが小暮さんとの出会いでした。その後も、家に呼んでもらう機会が増え、小暮さんからアンティークの家具や洋服、食器、映画、ジャズ...色々な事を教えてもらいました。初めて知ることばかりで面白くて仕方なかったのを思い出します。綿が水を吸う様に沢山のことを吸収してそれまでに持っていた全ての価値観を一新された。あれほど影響を受けた方はいないですね。
谷山:
一番満たされる事はなんですか。
小林:
面白いアイデアが浮かんで、それを展開している時、そして山(長野県の山にあるプライベートのキャンプ場)にいる時。アイデアに詰まった時は山に行く様、心がけています。森を一から切り開いて、完全なゼロ設定から始めた場所だから、行くと草を刈ったり薪を作ったり斧の刃を研いだり…。基本的には野良仕事や、道具のメンテナンスをする事が多い。大自然の中で体を動かすと心身ともにスッキリしていいリフレッシュができるんです。都市部と山を行き来する事が、自分にとっての二大快楽ポイントということになるのかな。
谷山:
ご自宅ではどういった家具をお使いですか
小林:
HIKEで作ってもらったチェスターフィールドを夫婦で1台づつ使用しているのと、古いテーブルに50'sのショーウォーカーのアルミダイニングチェア6脚を20年前からずっと使用しています。長野の山では、キャンプ場というコンセプトだから、基本バラして持ち運べる家具です。イギリス軍のチェアや、デンマーク製のベッド、1920年代のUSネイビーベンチなど。どちらの家でも、古い家具がほとんどですね。

山小屋のような店内には、実際に山の暮らしをしながら入念にリサーチされたウエア、アウトドアファニチャー、ギアがバランス良くディスプレイされている。ウエアは街着で使用するのはもとより、機能的なデザインと耐久性からアウトドアフィールドへ連れて行きたくなるものばかり。実際に僕も、キャンプ、フィッシングに行く際には必ず持っていく。各フィールドで使用することで、製品クオリティを実感する事ができるし、気分が高まる。そして何より頑丈。きっと爺さんになるまで着続けられそうだ。製品から使用するフィールドの想像を掻き立て、ワクワクさせてくれるのが"Mountain Research"最大の魅力。". . . . . Research GENERAL STORE"の店内を巡りながら、あれもこれも欲しいものばかり。あー悩ましい。




記事:谷山
写真:須摩

OUR NEIGHBORHOOD

JOURNAL ON 18TH JAN 2018

INTERVIEW WITH MOUNTAIN RESEARCH DIRECTOR
KOBAYASI SETSUMASA

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