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JOURNAL / FROM HIKE / SANTA & COLE HISTORY



スペインを拠点に活動するSANTA&COLEは1985年創業。ハヴィエル・ニエト・サンタ、ガブリエル・オルデイグ・コール、ニナ・マソの3人によって設立。照明を中心に、家具から商業施設、都市計画、そして書籍のデザイン開発に携わってきた。社名には創業者の名前が使用されており、アイウェアが印象的なロゴマークは物事の本質をしっかり見るという想いがこめられているそう。創業者の一人ニーナ氏にお話を伺うと自らのことをデザイナーでも、メーカーでもなく、エディターと、そう言っていたのが印象的だった。

SANTA&COLEが世に送り出す照明は、過去のアーカイブの復刻が多数ラインナップされている点が特徴的と言えるでしょう。その中には北欧ミッドセンチュリー期を代表するアルネ・ヤコブセンやイルマリ・タピオヴァ―ラなどが手掛けた照明もあり、当時のデザインを大切に表現しつつ、現代技術によってよりクオリティを高めて蘇らせている。この行為の裏には当時の素晴らしいデザインを守っていきたいという考えがあり、デザインという無形の財産を現代に大切に繋ぐ役割を果たしてくれているように思う。

もちろん現代を活躍するデザイナーとも協力して製品を発表している。ニーナは「彼らが着想したアイデアを共に形にする橋渡し的な役割を担う」と、そう自身の立ち位置を語るのはエディター(編集者)という考えからであろう。編集という立ち位置は言わば中立な位置で、デザイナー、クライアント、サプライヤー、ベンダーなどとコミュニケーションをしながら、デザインの本質と向き合っている。彼女の力強い眼差しは言葉以上にその意思を物語っているようだった。

“Excite with simplicity”これはSANTA&COLEが掲げるキーワード。簡潔なアイデアで、もしくは構造で人の心をワクワクさせたい、という意味がある。単純なことのようでシンプルほど難しいデザインはないだろう。それは物事の本質を見抜く力を養ってきたからこそ成せることだと私は思う。様々なデザイナーの手掛けたプロダクトを見ていってもどこか一貫性を感じるのは、このキーワードがあったからでしょう。

シンプルを追求するには意匠だけでは事足りない、当然クオリティにもこだわりを持っている。全ての製品はスペインメイドによるもの。提携する各工場はその製品を生み出すうえで最良の技術を有するところを厳選し、一部の製品を除き素材も自国のものを使用。自分たちの目の届くところで造ることによってより高いクオリティコントロールを実現することで、かつての名作に息を吹き込んでいく。。

その拠点となるヘッドオフィスはバルセロナ郊外のたいへん緑豊かな環境に構えられている。木漏れ日を感じるテラスがありスタッフは気持ちを落ち着けてクリエイションに満ちた仕事が出来ることでしょう。ニーナ氏にオフィスについて聞くと、これは植林事業だと話す。この地で木々を管理し、環境に向き合うこともデザインの一環なのでしょう。表層的な意匠に留まらない彼女の思慮深さがこのオフィスを通してスタッフにも共有されているのか。これからもSANTA&COLEの“編集”に期待したい。


SANTA&COLE製品ははこちらからご覧いただけます。


記者:中島


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FROM HIKE

JOURNAL ON 14TH November 2019

SANTA & COLE HISTORY