SOLD OUTArchives

カイ・フランク(Kaj Franck, 1911〜1989)によるタンブラー。小ぶりでシンプルなフォルムのタンブラーは、吹きガラスの技法でひとつひとつ丁寧につくられている。手にすっぽりと収まるサイズ感が何とも愛らしい。

カイ・フランクはフィンランドのデザイナーで、陶磁器やガラス器に数多くの名作を残した。奇をてらわない実直でシンプルなかたちのデザインから、しばしば「フィンランド・デザインの良心」と称される。日本では2019年に神奈川県立近代美術館で大回顧展が開かれ、大きな評判となったことも記憶に新しい。

カイ・フランクのガラス作品を見ると、色というものは本来光と不可分の関係にあるのだ、という当たり前の事実にハッとさせられる。光がなければ色は存在しない。色は常に光とともにあり、光によってのみその姿をあらわす。彼のガラス作品では色と光が密接にリンクしており、その色を愛でることはすなわち光を愛でることでもある。

このタンブラーは小品だが、そんな彼のガラス作品の魅力が凝縮している。淡いブルーの色味は側面から底部にかけて徐々に濃くなり、あたかも明け方の薄明かりの空をガラスの中にそっと閉じ込めたかのようだ。淡いブルーから濃いブルーへ、濃いブルーから淡いブルーへ。その光と色のやわらかなうつろいは、何度見ても飽きることがない。このタンブラーで飲む水は一体どんな味がするのだろうか。そんな思いをかきたてる一品だ。

割れ、欠けなくコンディションは良好ですが、使用感はあります。ご不安な方はご注文前に現物確認をお願いいたします。



コメント : 大塚