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JOURNAL / FROM HIKE / 香りを編む



香十徳(こうじっとく)という11世紀に読まれた漢詩によれば、香りは私たちの心身にあらゆる影響をもたらす。鬼神の如く研ぎ澄まされる、眠りを覚ます、忙しくとも和ます、など。日本には室町時代にこの考えが伝わり、主に邪気を払うため香が用いられた。その後、時代が移ろい貴族の嗜みを経て一般市民に広まって、現代では西洋医学でフォローできない主にメンタルを整えるため、香りは統合医療にも用いられている。そして、日々の生活の中でも、草花、森、海、雨など、自然からもたらされる香りに私たちの心は癒しを感じることがあるだろう。

当たり前に存在するこの感覚。それが古くから伝わってきている事実に、香りはヒトを構成する上で欠かせない要素であることに気づく。目まぐるしく駆け足に過ぎていく毎日だが、少し足を止めて嗅覚に意識を向けると、心身が整い、かえって事がスムーズに運ぶだろう。現代を生きる私たちにこそ香りは大切なのかもしれない。

HIKEでご紹介している「elemense」のポタリーストーンディフューザーは、まさに「香りを放つオブジェ」。表情やかたちがひとつひとつ異なるストーンは土と火がもたらす自然の姿。ストーンは置くだけで静かな佇まいを生み、香りをしっかりと留める。また、そこにオイルを垂らす仕草にも目が留まる。そんな導入の所作も含めて香りを感じるという事なのだろう。

「elemense」の香りは、木・火・土・金・水のエレメントからなり、古来中国の自然思想「五行説」からインスピレーションを得ている。万物は自然界の5大元素から構成され、互いに影響を与え合い、循環するという教え。香十徳にも説かれていたように、エレメンスのフレグランスは心に作用するよう香りの輪郭を意識して丁寧に組み立てている。

梅雨空。高く昇った太陽は身を潜めて、レースカーテンを透かしたように穏やか。そして、雨音が喧騒を沈めてくれる。雨は憂鬱なんてことはなく、部屋で自然を感じられる好機と捉えるといい。現在開催中のelemense POP UP STOREは6月27日迄。




テキスト  中島



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FROM HIKE

JOURNAL ON 20TH JUNE 2021

香りを編む