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アフリカ北西部、モロッコからチュニジアにかけて東西に伸びるアトラス山脈一帯に暮らすベニワレン族により、1960〜70年代に織られたヴィンテージラグ。ベニワレン族女性の花嫁道具として、染色することのない柔らかい上質な子羊の毛を丁寧に紡ぎ、婚約から数ヶ月の時間をかけてひとつひとつ丁寧に織ってゆく。黒や茶のラインも無染色で種類の違う羊毛を使い分け織られている。

ベニワレン独特の菱形意匠は「家」を表し、家庭を守るという大切な意味がラグにこめられている。商業用に織られたもではなく、実際に遊牧生活をするテントの中で使用されていた為、同じデザインは二つとない。人の手によって織られたあたたかみ、羊毛自体が内包するあたたかみ、そして大切な意味がこめられたベニワレンは、モロッコだけにとどまらず、今では世界中の人々を虜にしている。

フィンランドの巨匠アルヴァー・アアルトも自邸で愛用していたほどだ。フィンランド特有の寒さと整然さは、このようなクラフト的な要素をもったプロダクツがよく似合い。アアルトは50年前からベニワレンを愛おしみ、自邸に何枚も敷き詰めていた。まだ床暖房もない時代のこと、空調や暖炉の熱が羊毛に伝わり、内包した熱によって彼らを足元から温めたことだろう。そんなアアルトの先見性と合理性に驚くばかり。思えば彼がデザインしたスツールやテーブルも、50年経った今でも普遍的である。未来を見据える力がある証拠だ。

質感豊かなラグを1枚敷くことで室内の空気感はガラッと変わるだろう。肌触りのよい長い毛足の羊毛は暖かいのはもちろんのこと、床の固さも感じることなく心地いい。厳しい自然が育んだ良質な羊毛は油分を多むため汚れが付きづらく、空気中のハウスダストを捕まえてくれるので、日常的には掃除機を掛けてるだけ。気になる汚れはウール用洗剤を布に含ませて軽く叩くといい。ヴィンテージラグにも関わらず、ご覧の通り美しい状態をキープ出来ているのは羊毛が持つ品質と、現地で大切に扱われたきた証拠でしょう。


コメント : 中島