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HIKE JOURNAL VOL.115


春には花びらが風にそよいで地面を鮮やかに染め上げ、秋には落ち葉がコンクリートの上や土の上にふかふかと柔らかな黄金色の絨毯を用意します。冬の寒い日には、降り積もる雪が見慣れた景色の中にある色彩を奪い取って、あたり一面を白く包みます。冬の陽光は柔らかくおだやかなゆえ日照時間も短いので、四季の中で冬という季節は暗い印象を持ちますが、雪のあとの晴れた日というのは、夏の太陽に照らされる世界よりも一層清らかに明るく、こんなにも世界は輝かしいのかと、驚くほどです。

「雪の降った日、誰もまだ足を踏み入れていない近所の公園に真っ先に出向き、そこへ自分のフットプリントをひとつ、またひとつとつけていくときの高揚感。それは、真っ白の雪山の斜面を滑り降り、自分だけのトレースをつけていくことにつながっていきます。見渡す限りの白の世界の中では、いつでも童心にかえることができるのです」とはHIKEオーナーの言葉。雪山に通うことで自分をリセットし、そして幼き頃から現在まで繋がる純粋な自分自身の内面に気づかされると話します。少なからざる人にとって、雪景色の中に入ることと自身の原点を見出すことは繋がり得ないかもしれません。ただ、積もる雪によって、良くも悪くも自分の生活に影響を与える自然というものの力を、生活にとても近いところに感じることができるのではないかと思います。そしてそれと対峙することで、白の景色は鏡のように、私たち自身を映し出すのではないでしょうか。

積雪によって普段の行動は制限されますが、それでも普段通りの生活をしようと私たちは工夫を凝らします。時間を意識し、身なりを意識し、行動の一つひとつを意識します。玄関を出て、いつものように最寄りの駅へと向かう道すがら、あんなにも自分の踏み出す一歩一歩を意識することはないでしょう。それはいつも通りに歩けない不自由さによって初めて表れる現象だと思いますが、それと同時に、真っ白の世界に自分の足跡をつけることによる言葉に尽くせぬ感情を私たちの内に湧き起こします。自重によって、自分の跡がこの地球の上に残ること。そしてそれはさらに積もる雪によってかき消されるか、あるいは太陽によって溶かされるかして一瞬のうちに消えていきます。今の自分を世界の中に見ること、そしてそれがリセットされまた新しい世界が始まること、その繰り返しの中に私たちは生きていること。静かな雪景色を目にそんなことを考えていると、厳しい寒さの中にわずかなぬくもりや楽しさ、喜びを感じられるように思います。




テキスト / 守屋 / @yukina.moriya

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JOURNAL ON 23RD JAN 2022