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HIKE JOURNAL VOL.123


あとがきにかえて

HIKEでの連載を始めませんか?と須摩さんに声をかけていただいたのが2021年の春のこと。あまりに嬉しすぎたのでちょっとおろおろしながらも、勢いに任せてやってみますとお答えしました。家に帰ってソファに座り、我が家をぐるりと見回してみて、やっぱり身の丈に合わないことじゃないかと後からあとから不安が押し寄せてきて、どうしていいやら途方に暮れてしまった記憶があります。

突然始まった連載を、それでも楽しみにしてくださる方が幸い私の周りにもいらっしゃって、それが契機となって出会った素晴らしい方々もおりました。須摩さんと交わすいくつかのことばの中にきっかけを見つけて、今までこんなに考えたことがないだろうほどに自分の暮らしをつぶさに観察してみる日々。そこにははじめて見る輝かしい瞬間がたくさんありました。それを発見できた喜びや、あるいは感じたことを素直にそのままテキストに落とし込んでいきました。私がこれほどまでに普通に生きる一人だからこそ、そういった日々のことに新鮮に感動できたわけですし、そのことがHIKEと、HIKEのお客さまとのタッチポイントのようなものを作れたのかもしれないと感じています。逆に私がプロフェッショナルとしてのデザイン考を述べられるとも誰も期待していなかったでしょう。

そしてそういった日々の中のささやかなきらめきに出会う機会を作ってくれる役割を、HIKEというお店や家具たちが担っているのだろうと強く思います。ショップで受ける接客にはその火種となるものが隠されているのです。具体的なことを書いてみたらとても陳腐に見えてしまったのでここでは割愛しますが、代わりとして、今回の連載について交わした須摩さんとのいくつかのやりとりの中からひとつ紹介したいと思います。全てが集約されているようでとても感銘を受け、実際にテキストの一部にも使わせて頂いたことばです。

「やっと見つけた自分の居場所、それは自宅においたソファのひと隅。ずっとこの場所を探していたんだなぁと。そこには家族がいて、仕事や趣味があって、いろんな要素が混ざり合っているのですが、その小さなひと隅に座ることで自分に還れる、そんな場所がみつかったことに嬉しさを覚えています。その為に屋根があるような気もしています。そして誰もがそんな場所をみつける旅をしているのだと思います」




テキスト / 守屋 / @yukina.moriya




昨年5月からはじまった守屋さんの掲載は今回で最後となります。ウェブサイト内ジャーナルにて12回の掲載をご拝読いただけます。

FROM HIKE

JOURNAL on 17th June 2022

あとがきにかえて