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気温は上がっても20度前後。日照時間も17時間以上。なんだかとても明るい日々。デンマークの夏の空は気まぐれで、どんなに晴れていても当たり前のようにスコールのようなにわか雨に見舞われる。そしてまた綺麗に晴れる。濡れてもすぐに乾くあたりはやはり爽やかだ。

思えば今年の6月上旬にかけて、コペンハーゲンでは1ヶ月以上雨が降らず、快晴の続く日々だった。数十年ぶりのことだったそうだ。あの空気がとても乾燥するさなか、友人たちが皆嬉しそうに外へ出て「最高の時期に来たね!」と言ってきたのには少し驚いたのだが、今では特別なことだったと分かる。

晴れた日にはこぞって外へと繰り出し、水辺には自然と人が集まる。大切な人と会話をする人たち、水着で日焼けを楽しむ人たち、はたまた一人で本を読む人。太陽の光を存分に浴びながら、皆思い思いの時間を過ごす。そしてときには水と戯れる。これが、長く暗い冬を越えた彼らにとっての贅沢な時間の過ごし方なのだろう。

泳ぐことへのハードルはとことん低い。これはここへ来て強く感じたことだ。男女関係なく、食事まで30分もあればひと泳ぎする?と誘われるようなイメージ。街中にも気軽に泳げる公共スペースが用意されている。純粋に、水に入ることがごく身近で自然な、そして小さい頃から慣れ親しんだ楽しいことなのだと思う。足のつかない場所でも簡単にひょいと泳ぎ出す。もし水着が無ければ友人から借りればいいし、それも難しいなら裸で泳いでも誰も気にしない。個々の自由だよね、という雰囲気。各々自分の大切な時間を過ごすことに夢中で、他人の自由を制限するような視線や発言が圧倒的に少ない。そして様々な条件を抜きにして、身体そのものが美しいという感覚が根底にあるような気がしている。

サマーハウスで夏の時間を家族と過ごすこともごく一般的だ。家からさほど遠くない場所にもつことが多いのだそう。小さな国なので、どれだけ内陸に住んでいても車で1時間も走れば海辺に到着できるのだと聞いた。そうすれば土日にそこで寛ぐことも出来る。なんて優雅な生活なんだ、さすが幸せの国デンマーク、、、!と言いたいところだが、本人たち曰く「恵まれた国だという自覚はあるけど、それでもやっぱり常にストレスとは隣合わせだよ。」とのこと。どこにいてもストレスはある。。そのあたりは時間をかけて、じっくり知っていきたい。



写真・テキスト / 藤原葉子 / @yokofujiwar
1990年アメリカ生まれ、日本育ちの写真家。上智大学卒。
2017年野口 貴司氏に師事し、2020年デンマークでの撮影を開始した。
人々の暮らしの中にある光や色彩に魅せられ、カメラを向けている。

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JOURNAL on 21st July 2023

デンマークの気まぐれで、爽やかな夏