JOURNAL / FROM HIKE / ABOUT MUNI CARPETS
永い中国絨毯の歴史のなかで気品に満ち、洗練された絨毯の一群。明朝末期から清朝初期(16-18世紀)に宮廷への献上品として製織された幻の絨毯、それが「クラシカルチャイニーズラグ」です。手織りとは思えない精巧且つ美しい文様や味わい深い色調は富と権力の象徴として時の皇族が重宝し、敷物としての用途以外にも柱に巻き付けたり、壁面にタペストリとして掛けられ、室内を豪華に彩りました。また、皇帝の移動に合わせて足元のラグも移設され、常に動きを共にした逸話からも存在の重要性が伺えます。そして、明朝(漢民族)から清朝(満州民族)へと異なる文化を持つ民族に引き継がれたのもその美しさ故でしょう。
しかし、美意識の違いから清朝中期よりクラシカルチャイニーズラグは独特の美しさを次第に失い、いずれ宮廷工房は途絶えることに。その後、絨毯の生産は海外に向けて作られるようになり、商業主義のデザイン、機械や化学染料による大量生産によって、本来の伝統美とは異なるものとして世界中に広まりました。時は経ち、宮廷の奥深くで眠っていたクラシカル・チャイニーズ・ラグが再び脚光を浴びるのは20世紀初頭。ニューヨークのオークションで紹介されるやいなや上流階級の人々に羨望の眼差しで迎えられ、瞬く間にステータスシンボルとなりました。その品格ある東洋の美は、ルイス・カムフォート・ティファニーやココ・シャネル、フランク・ロイド・ライト等、欧米のトップクリエイターを魅了し、彼らの個性を表現する大切なアイテムとして用いられるように。特にココ・シャネルは17世紀中頃にヨーロッパの貴族や富裕層の間で流行した「シノワズリ」から強いインスピレーションを受け、彼女のサロンはコロマンデルスクリーン(中国の黒漆し屏風)とクラシカルチャイニーズラグを西洋家具と組み合わせたスタイルとし、後のインテリアシーンに大きな影響を与えました。
画像左:ココ・シャネルが自身のサロンで寛ぐ様子(クラッチマガジン)
MUNI CARPETS オーナーの楠戸謙二氏がクラシカルチャイニーズラグと出会ったのが1987年のこと。文化的価値の高い幻の絨毯に強く惹かれ1989年に同社を設立しました。往時の作品を忠実に再現するためにクラシカルチャイニーズラグを蒐集し、メトロポリタン美術館など世界の美術館に協力を求めて実物をサンプリング、また書籍や文献を頼りに調査研究した末に、伝統技術を蘇らせることに成功します。素材は中国固有種である灘羊(タンヤン)の最高品質ウールに拘り、時間をかけて手で紡いだ糸は古来より用いられる植物染料で染めています。そして、2000年以上前から受け継がれてきた古典的手結び製法で織り上げることで緻密で堅牢なラグが出来上がります。故に工房はシルクロードの甘粛省(かんしゅくしょう)に築きました。この地はかつてクラシカルチャイニーズラグの産地であり、黄河上流の豊かな自然で育まれた上質な羊毛、そして天然染料の発色に大きく影響する祁連(きれん)山脈からの雪解け水が存在します。この歴史的な聖地で製作することは本来の姿を表現する上で欠かすことの出来ない大切な拘り。それが評価され、中国で唯一の明朝時代の伝統製法を継承する唯一の工房として2024年に甘粛省の無形文化遺産にも認定されました。
MUNI CARPETSは当時の絨毯を蘇らせるだけでなく現代生活に合わせた絵柄に再構築しています。用いられる文様は蓮や松、桃などの自然界の植物から、龍や麒麟など神話に登場する霊獣なども登場。クラシカルチャイニーズラグに込められたストーリーを大切にしながら、詫び寂びのエッセンスを含んだ文様を日本人の美意識を通じて余白や配置を緻密に調整しています。また、MUNI CARPETSが提案しているスタイリングもシノワズリを現代の生活様式に合わせて昇華させた“モダンシノワズリ”をキーワードとしており、西洋のモダニズムと東洋の閑寂な精神性と美意識が融合したもの。80年代にピーター・マリノが手がけたジョルジュ・アルマーニのミラノ自邸のエレガントなスタイリングは、今なお多くのインテリアデザイナーをインスパイアし続けており、現在も欧米の著名なインテリアデザイナーによってそのラグジュアリーな “モダンシノワズリ” スタイルは受け継がれています。
MUNI CARPETS EXHIBITION 会期 : 2025年2月8日(土)-2月24日(月) 12:00-18:00 火・水曜日定休 会場 : HIKE 東京都目黒区東山 1-10-11 企画展について詳しくはこちらをご覧ください。 ラグ一覧はこちらよりご確認いただけます。
画像、コメントの無断転載に関して
JOURNAL ON 30th Jan 2025
ABOUT MUNI CARPETS
STORE INFORMATION
1-10-11, Higashiyama, Meguro-ku, Tokyo, 153-0043 JAPAN Open Thur - Sun 12:00-18:00 Closed Mon, Tue & Wed 03-5768-7180(T) shop@hike-shop.com HIKE Area Map
JOURNAL / FROM HIKE / ABOUT MUNI CARPETS
永い中国絨毯の歴史のなかで気品に満ち、洗練された絨毯の一群。明朝末期から清朝初期(16-18世紀)に宮廷への献上品として製織された幻の絨毯、それが「クラシカルチャイニーズラグ」です。手織りとは思えない精巧且つ美しい文様や味わい深い色調は富と権力の象徴として時の皇族が重宝し、敷物としての用途以外にも柱に巻き付けたり、壁面にタペストリとして掛けられ、室内を豪華に彩りました。また、皇帝の移動に合わせて足元のラグも移設され、常に動きを共にした逸話からも存在の重要性が伺えます。そして、明朝(漢民族)から清朝(満州民族)へと異なる文化を持つ民族に引き継がれたのもその美しさ故でしょう。
しかし、美意識の違いから清朝中期よりクラシカルチャイニーズラグは独特の美しさを次第に失い、いずれ宮廷工房は途絶えることに。その後、絨毯の生産は海外に向けて作られるようになり、商業主義のデザイン、機械や化学染料による大量生産によって、本来の伝統美とは異なるものとして世界中に広まりました。時は経ち、宮廷の奥深くで眠っていたクラシカル・チャイニーズ・ラグが再び脚光を浴びるのは20世紀初頭。ニューヨークのオークションで紹介されるやいなや上流階級の人々に羨望の眼差しで迎えられ、瞬く間にステータスシンボルとなりました。その品格ある東洋の美は、ルイス・カムフォート・ティファニーやココ・シャネル、フランク・ロイド・ライト等、欧米のトップクリエイターを魅了し、彼らの個性を表現する大切なアイテムとして用いられるように。特にココ・シャネルは17世紀中頃にヨーロッパの貴族や富裕層の間で流行した「シノワズリ」から強いインスピレーションを受け、彼女のサロンはコロマンデルスクリーン(中国の黒漆し屏風)とクラシカルチャイニーズラグを西洋家具と組み合わせたスタイルとし、後のインテリアシーンに大きな影響を与えました。
画像左:ココ・シャネルが自身のサロンで寛ぐ様子(クラッチマガジン)
MUNI CARPETS オーナーの楠戸謙二氏がクラシカルチャイニーズラグと出会ったのが1987年のこと。文化的価値の高い幻の絨毯に強く惹かれ1989年に同社を設立しました。往時の作品を忠実に再現するためにクラシカルチャイニーズラグを蒐集し、メトロポリタン美術館など世界の美術館に協力を求めて実物をサンプリング、また書籍や文献を頼りに調査研究した末に、伝統技術を蘇らせることに成功します。素材は中国固有種である灘羊(タンヤン)の最高品質ウールに拘り、時間をかけて手で紡いだ糸は古来より用いられる植物染料で染めています。そして、2000年以上前から受け継がれてきた古典的手結び製法で織り上げることで緻密で堅牢なラグが出来上がります。故に工房はシルクロードの甘粛省(かんしゅくしょう)に築きました。この地はかつてクラシカルチャイニーズラグの産地であり、黄河上流の豊かな自然で育まれた上質な羊毛、そして天然染料の発色に大きく影響する祁連(きれん)山脈からの雪解け水が存在します。この歴史的な聖地で製作することは本来の姿を表現する上で欠かすことの出来ない大切な拘り。それが評価され、中国で唯一の明朝時代の伝統製法を継承する唯一の工房として2024年に甘粛省の無形文化遺産にも認定されました。
MUNI CARPETSは当時の絨毯を蘇らせるだけでなく現代生活に合わせた絵柄に再構築しています。用いられる文様は蓮や松、桃などの自然界の植物から、龍や麒麟など神話に登場する霊獣なども登場。クラシカルチャイニーズラグに込められたストーリーを大切にしながら、詫び寂びのエッセンスを含んだ文様を日本人の美意識を通じて余白や配置を緻密に調整しています。また、MUNI CARPETSが提案しているスタイリングもシノワズリを現代の生活様式に合わせて昇華させた“モダンシノワズリ”をキーワードとしており、西洋のモダニズムと東洋の閑寂な精神性と美意識が融合したもの。80年代にピーター・マリノが手がけたジョルジュ・アルマーニのミラノ自邸のエレガントなスタイリングは、今なお多くのインテリアデザイナーをインスパイアし続けており、現在も欧米の著名なインテリアデザイナーによってそのラグジュアリーな “モダンシノワズリ” スタイルは受け継がれています。
MUNI CARPETS EXHIBITION
会期 : 2025年2月8日(土)-2月24日(月) 12:00-18:00 火・水曜日定休
会場 : HIKE 東京都目黒区東山 1-10-11
企画展について詳しくはこちらをご覧ください。
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