JOURNAL / FROM HIKE / INTERVIEW WITH NATTO
お二人に話を伺うため、ご自宅を訪ねた。東京23区のはずれにある築55年の二階建ての古民家。 当初は住める状態ではなかったというこの家を、自らの手で改修し暮らしている。セルフビルドで整えられた空間は、自宅でありながら、お店やアトリエのようでもあり、ふたりの世界観が静かに滲んでいた。 そして、そんなふたりの感覚が息づく場として、年内には吉祥寺に実店舗をオープンすることも決まっている。新しい拠点で、これまでの“モノとの関係”がどのように展開していくのか、今から楽しみだ。
川端さんが最初に古物に触れたのは、イギリスや北欧のアンティーク家具や雑貨を扱う店だった。 ディスプレイを変えることでモノが動き、人の手へと渡っていく。その瞬間を繰り返し経験するうちに、「モノが動く」という現象そのものに興味を持ったという。気づけばいつの間にかモノに囲まれ、自然と選ぶという行為を続けていた。
ふたりがモノを選ぶとき、最も大切にしているのは“色”。選ぶ色をいくつかに絞り、それ以外のものは選ばない。これが、統一感を生み出す大きな要素のひとつになっている。中でも、黄色く経年変化したプラスチックの色には特に惹かれるという。また、年代や作者、背景にはあまりこだわらない。 「もちろんリスペクトはありますが、執着はないんです。モノはモノであって、今この瞬間にある関係を大切にしたい。」モノは隣り合うものとの関係によって、その良さを引き立て合う。ひとつのモノを素材、要素のひとつとして捉え、構成していく。そのため、買い付けたモノを自宅に持ち帰り、他のモノと組み合わせて初めて“良い”と感じられることも多いという。また、モノ選びには自分たちの“旬”があるという。 それは、美しい花束がやがて枯れていくのと同じように、今この瞬間に最も良い状態を感じられるタイミングを指す。だからこそ、過去や背景に縛られず、目の前の素材や色、質感と向き合うことを大切にしている。モノを並べるとき、事前に構想を練ることはあまりない。 実際に配置しながら、色や形の連続性、バランスを探っていく。これまでに重ねてきた実験の積み重ねから生まれる感覚が、結果的に“nattoらしさ”へとつながっているのだろう。
nattoにとって初めての個展となる。「この場所を使って、実験的にいろんなことを試したいです。モノがたどってきた時間や背景をいったん並べて、今の私たちが感じる“関係”をそのまま見せたい。会期中も展示を動かしていくつもりです。」その言葉の通り、展示は会期中に少しずつ変化していく。光や空気、人の動きに合わせながら、モノの配置や関係性を確かめ、空間を整えていく。モノは静かにそこに存在しながら、周囲との関係で印象を変えていく。nattoが意識しているのは、モノの過去ではなく、いまこの瞬間に息づく“旬”のかたちなのだ。
natto 企画展「FLOWER」 会場 : HIKE 会期 : 2025年10月25日(土) − 11月9日(日) 12:00 − 18:00 火・水曜日定休 HIKE最寄りのギャラリースペースがメイン会場となります。 通常は月曜日も定休日ですが、会期中は営業いたします。 会期中は在廊予定。 インスタグラム:@natto_km
JOURNAL ON 16th OCT 2025
INTERVIEW WITH NATTO
STORE INFORMATION
1-10-11, Higashiyama, Meguro-ku, Tokyo, 153-0043 JAPAN Open Thur - Sun 12:00-18:00 Closed Mon, Tue & Wed 03-5768-7180(T) shop@hike-shop.com HIKE Area Map
JOURNAL / FROM HIKE / INTERVIEW WITH NATTO
nattoさんを知ったきっかけは、インスタグラム。投稿されている様々なモノが、集約されているのに統一感があり整然としている。組み合わせることで引き立つモノの良さ、絶妙なバランスと独特のリズムが心地よく、自然と惹き込まれた。この感覚が空間でどのように構成されるのか。その景色を見てみたいと思ったのが、この展示の始まりだった。
お二人に話を伺うため、ご自宅を訪ねた。東京23区のはずれにある築55年の二階建ての古民家。 当初は住める状態ではなかったというこの家を、自らの手で改修し暮らしている。セルフビルドで整えられた空間は、自宅でありながら、お店やアトリエのようでもあり、ふたりの世界観が静かに滲んでいた。 そして、そんなふたりの感覚が息づく場として、年内には吉祥寺に実店舗をオープンすることも決まっている。新しい拠点で、これまでの“モノとの関係”がどのように展開していくのか、今から楽しみだ。
川端さんが最初に古物に触れたのは、イギリスや北欧のアンティーク家具や雑貨を扱う店だった。 ディスプレイを変えることでモノが動き、人の手へと渡っていく。その瞬間を繰り返し経験するうちに、「モノが動く」という現象そのものに興味を持ったという。気づけばいつの間にかモノに囲まれ、自然と選ぶという行為を続けていた。
ふたりがモノを選ぶとき、最も大切にしているのは“色”。選ぶ色をいくつかに絞り、それ以外のものは選ばない。これが、統一感を生み出す大きな要素のひとつになっている。中でも、黄色く経年変化したプラスチックの色には特に惹かれるという。また、年代や作者、背景にはあまりこだわらない。 「もちろんリスペクトはありますが、執着はないんです。モノはモノであって、今この瞬間にある関係を大切にしたい。」モノは隣り合うものとの関係によって、その良さを引き立て合う。ひとつのモノを素材、要素のひとつとして捉え、構成していく。そのため、買い付けたモノを自宅に持ち帰り、他のモノと組み合わせて初めて“良い”と感じられることも多いという。また、モノ選びには自分たちの“旬”があるという。 それは、美しい花束がやがて枯れていくのと同じように、今この瞬間に最も良い状態を感じられるタイミングを指す。だからこそ、過去や背景に縛られず、目の前の素材や色、質感と向き合うことを大切にしている。モノを並べるとき、事前に構想を練ることはあまりない。 実際に配置しながら、色や形の連続性、バランスを探っていく。これまでに重ねてきた実験の積み重ねから生まれる感覚が、結果的に“nattoらしさ”へとつながっているのだろう。
nattoにとって初めての個展となる。「この場所を使って、実験的にいろんなことを試したいです。モノがたどってきた時間や背景をいったん並べて、今の私たちが感じる“関係”をそのまま見せたい。会期中も展示を動かしていくつもりです。」その言葉の通り、展示は会期中に少しずつ変化していく。光や空気、人の動きに合わせながら、モノの配置や関係性を確かめ、空間を整えていく。モノは静かにそこに存在しながら、周囲との関係で印象を変えていく。nattoが意識しているのは、モノの過去ではなく、いまこの瞬間に息づく“旬”のかたちなのだ。
natto 企画展「FLOWER」
会場 : HIKE
会期 : 2025年10月25日(土) − 11月9日(日) 12:00 − 18:00 火・水曜日定休
HIKE最寄りのギャラリースペースがメイン会場となります。
通常は月曜日も定休日ですが、会期中は営業いたします。
会期中は在廊予定。
インスタグラム:@natto_km