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JOURNAL / FROM HIKE / 「経年変化」と「経年劣化」の違いは? 



ヴィンテージ家具に携わっていると、「経年変化」と「経年劣化」という言葉をよく耳にします。どちらも時間の経過によって生まれる変化ですが、その意味はまったく異なります。「経年変化」とは、素材が時間や環境、人の手に触れられることで、色や質感が少しずつ変わっていくこと。一方、「経年劣化」とは、本来備えていた機能や品質が失われていくことです。木部の割れやぐらつき、張地の破れなどが、その代表と言えるでしょう。前者は時間が与えてくれる魅力であり、後者は手入れによって防ぐべき変化です。

どれほど良い家具でも、日々使うことで、また乾燥や湿気の影響を受けながら、少しずつ変化していきます。木部や革が乾いたときにはワックスやオイルで手入れを重ねることで、素材は潤いを取り戻し、艶や深みを増しながら、表情豊かな「経年変化」を育んでいきます。一方で、ぐらつきや割れなどの不具合を見つけたら、購入したストアで早めに修復を施し、「経年劣化」が進まないようにすることも大切です。そうした日々の手入れと修復の積み重ねが、家具を長く使い続けられる状態へと導きます。

HIKEで扱うヴィンテージ家具は、半世紀以上前につくられたものですが、そのまま店頭に並ぶことはありません。アトリエで構造を確認し、木部を補修したうえで丁寧に研磨し、オイルや塗装で表面を仕上げます。傷んだ座面は新しいファブリックへ張り替え、この先も安心して使い続けられる状態へと整えます。それは新品へ戻すためではなく、「経年劣化」を可能な限り取り除き、本来備えていた美しさと機能を取り戻すための修復です。そして、その先はお客様の暮らしの中で、新たな「経年変化」を育んでいただければと思います。

長く使われ続ける家具には、いくつかの共通点があります。何十年経っても美しいと感じられる、普遍的なデザインであること。そして、使うほどに素材の色や質感が変化し、使い手の愛着が深まっていく「経年変化」を楽しめること。北欧家具が半世紀以上経った今も世界中で愛され続けているのは、時間によって完成へと近づいていくことまで見据えて、ものづくりが行われてきたからではないでしょうか。「経年変化」とともに、「経年劣化」には丁寧に向き合う。その積み重ねこそが、北欧家具を世代を超えて受け継いでいく理由なのだと思います。


記者: 谷山


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JOURNAL ON 6th AUGUST 2026

「経年変化」と「経年劣化」の違いは?