HIKE

こだわり満載の小さなキャビネット。長いローボードに比べ小さなローボードはどうしても意匠的に見劣りするが、縦横比率のバランスを良くすることでそれを見事にカバーしている。扉をスライドさせれば、左側には黒い引出しが１杯と可動式棚板、右側にも可動式棚板が１枚セットされている。黒い引出しはトレイ式となり、そのまま外に持ち出せ、好きな場所にセットでき自在の収納が可能だ。

もうひとつ、このキャビネットの特徴として”黒”が効果的に使われていることだろう。脚や引出しに代表される塗装された”黒”、手掛けハンドルや扉を開け放った際に内部に浮かぶ影の”黒”、また天板と側板が合わさる角に黒い（濃い）材料を用いたりと、全体的にシャープな意匠が宿っているのはこれらの”黒”が効いているからこそ。夜になればその効果はさらに加速し、黒部分は闇に消え、美しきチーク材だけが立体的に浮び上がる。これがデザイナーの意図かどうか知る由はないが、考え尽くされたキャビネットであることは間違いない。

テレビ台としてはもちろん、リビングボードとして書籍を収納し、オブジェを飾ってみたり、またターンテーブルや真空管アンプを置いて、内部にはレコードを納め、両側にスピーカーを従えればもう完璧である。ここでもオーディオの”黒”と相まって最高の結果を生み出すだろう。自分が欲しくなってきた。

次世代へ接続可能な家具として蘇らせました。
フルサンディング(研磨）によって劣化した塗装シミ、傷、汚れを除去し、その後、耐水、耐退色効果のある特殊な素材を浸透・硬化させ、トップコンディションの状態である「ハイク・クオリティ」まで仕上げを施しました。ご購入後、木部のアフターケアも対応します。

コメント：須摩光央（買付け担当）