HIKE

Henry Rosengren Hansenによるキャビネット。Brande Mobelindustriは自身で設立したファクトリーで、彼が好む線が細く、少しエッジの効いたキャビネットやチェア、テーブル等を製作した。また、同時期に活躍したkurt ostervigやhans olsenのような有名デザイナーの家具も手掛けたところから技術力の高さが伺える。このキャビネットも随所に彼のこだわりを感じられるため、これから順を追って見ていこう。

全体に使用されるローズウッドは現代ではワシントン条約により輸出入を制限されている希少種。ローズウッドの魅力の１つに力強い木目が挙げられるが、このキャビネットは天板・側板・扉に至るまで全て板目で構成されており、存分にその魅力を堪能できる。また、長尺なキャビネットの為、天板を眺めているとローズ特有の黒い筋が大河の流れのように感じ、背後に雄大な自然の力を連想させる。素材の力を最大限に活かした構成は見事。

コンパクトだが手掛かりの良いハンドルを持ち、中央の引戸を開けてみよう。向かって左側は４枚のトレーが収納されており、フェルトが敷いてあることからジュエリーや時計等の貴重品を大切に仕舞うことができそうだ。トレーの前板は中央部分が括れ、グリーンのフェルトとの組み合わせによりエレガントな印象。右側は可動棚が２枚セットされており、使い勝手は良好。棚の前面を立ち上げ、厚みを出すことで左側のトレーとのバランスを取っているのだろう。細部まで行き届いた心憎いデザインである。次に左右の引戸を開けると可動棚が１枚ずつセット。真鍮の棚受けがヴィンテージ感を高めてくれる。書籍等の高さのある物はこちらにどうぞ。

充実した収納スペースにより重厚感が強くなりがちなところをテーパードされた脚部が軽やかに魅せてくれる。中脚を付ける事で安定感と強度が増し、お部屋の雑多な物を１台に集約しても安心だ。物を探す手間が省けることで、時間の無駄遣いは無くなり、日々のストレスも軽減されるだろう。

高さが抑えられているため、腰窓の下にレイアウトしたり、天板上に写真やオブジェ等を並べ、ディスプレイスペースにするのがお勧め。花器を置き、季節ごとに設えを変えて楽しむものも素敵。このキャビネットが放つ品格ある佇まいは、空間の雰囲気を一変させ、飾る物が本来持つポテンシャルを超えた魅力を引き出してくれるに違いない。

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コメント : 萱野

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