HIKE

アルフ・スベンソンによるイージーチェア。しなやかな曲線が表現された背もたれと量感のあるオーク無垢材のフレーミングは彼らしい構成。製作はベッドマットレスに定評のあるDux社。マットレス中心の商品構成であった同社であったが50〜60年代に事業を拡大。スウェーデンを拠点に活躍するデザイナーに声をかけチェアやソファも多く手掛けるようになった。こちらはその当時の1脚。優美な意匠性に目を奪われるのだが、その繊細さには構造的な違和感を感じないだろうか。心底安心して体を預けられるのか？と。

シートの構造体に使われるのは金属製のスプリングフレーム。背もたれから座面まで一体となり、その周囲をウレタンフォームで包み込んでいる。構造体が同時にクッション材を兼ねる発想はマットレスメーカーならでは。必要なウレタンフォームの量を最低限に留め、素晴らしいスプリングワークでご覧の美しいラインを実現している。

腰を降ろしてみると、先の違和感は一気にクリアになった。金属製フレームの確かな剛性は、男性スタッフが腰かけても柔さは全く感じさせない安心感のある座り心地。後ろに体重を掛けると僅かに揺らぎ、ベンディング効果が心地よい。背もたれの曲線は背中に吸い付くようなフィット感。ヘッドレストは簡単に高さ調整できますから、体格の異なる家族みんなで共有することもできる。

さらに特筆すべきは2段階リクライニング機能。簡単なアクションでシートの角度を調整可能。起こした状態では映画鑑賞や読書に最適ですが、倒すとまるでファーストクラス。素晴らしいクッション性を最も体感できるシートポジションは快適そのもの。珍しいリクライニング構造はDux社のパフォーマンスを引き出すには最良の選択。職人たちと膝を付け合わせて意見交換を重ねたことで、四角いベッドフレームに新たな道筋を示す機会となった。

次世代へ接続可能な家具として蘇らせました。
フルサンディング(研磨）によって劣化した塗装シミ、傷、汚れを除去し、その後、耐水、耐退色効果のある特殊な素材を浸透・硬化させ、トップコンディションの状態である「ハイク・クオリティ」まで仕上げを施しました。ご購入後、張生地、ウレタン交換、木部のアフターケアも対応します。

コメント :　中島（ショップスタッフ）