ニールス・O・モラーによるダイニングチェア「Model 75」。家具職人でもあるモラーは1944年に自身の家具工房J.L.Mollerを設立し、その2年後には椅子製作をスタート。 モラーの美意識がよく表現されている椅子類はいずれもモダンで世界的な評価も高い。Model 75は1959年にデザインされて以来、現代でも大切に作られ続けるモラーの代表作と言えるでしょう。
使用される木材はチーク材。水の流れるようなしなやかな柾目が私たちの心を穏やかに沈めてくれるよう。特に量感のある背もたれには有機的な丸みがあり、天然木の風合いが豊かに感じられる。深みが増したきめ細やかな木目のチーク材はヴィンテージならではと言えるでしょう。全体的に要素を削ぎ落としたミニマルな意匠を追求するべく、背の笠木と後脚が滑らかに継ぎ合わせられている点も秀逸。
腰を下ろしてみると座面は幅広でゆとりがあり、弾力によって優しくお尻をて受け止めてくれる。背の笠木は体の曲線に沿うよう緩やかにカーブしている為、背当たりは良好。気品ある佇まいの一方で、道具としての役割をしっかりと確保している堅実さがなんとも北欧デザインらしい。食事を楽しんだ後、すぐにソファに移動することなく、ついついダイニングで過ごす時間が長くなってしまいそうだ。
脚には左右に細い貫が2本のみ。しかも上寄りにセットされている為、存在感を軽減し開放的な脚元を表現している。前後左右の負荷に対して揺らぐことなく、繊細な脚ながら力強く地を捉えているが、それは厚みのある座枠が構造の肝となっているから。ファブリックを座枠ごと巻き込むことで構造的な要素を感じさず、ふくよかな座面としてまとめてしまうテクニックはさすがモラーといったところ。部材を少なくするという事はそれだけ技術力が求められるが、およそ50年の時を経ても尚、私たちの前に立派に存在することこそその証である。
ファブリックとウレタンフォームは国内にて新たに交換済み。リネンとコットンを使用したインポートの混紡生地は、質感ある表情ながらふわりとした優しい肌触りが特徴的。一度洗いをかけることで濃淡のある風合いとなり、ヴィンテージフレームとの相性も良好。
コメント: 中島
新型コロナウイルス感染対策について
2000年のオープン以来、「物質の循環」「自然との共生」をテーマに、ヴィンテージ家具の永続的使用を追求しています。末長くご使用いただくことを考慮し、下記メンテナンスを施しております。ご購入前に一読していただけますと幸いです。
木部補修 生地張替 サポート 木材種類 無断転載について
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腰を下ろしてみると座面は幅広でゆとりがあり、弾力によって優しくお尻をて受け止めてくれる。背の笠木は体の曲線に沿うよう緩やかにカーブしている為、背当たりは良好。気品ある佇まいの一方で、道具としての役割をしっかりと確保している堅実さがなんとも北欧デザインらしい。食事を楽しんだ後、すぐにソファに移動することなく、ついついダイニングで過ごす時間が長くなってしまいそうだ。
脚には左右に細い貫が2本のみ。しかも上寄りにセットされている為、存在感を軽減し開放的な脚元を表現している。前後左右の負荷に対して揺らぐことなく、繊細な脚ながら力強く地を捉えているが、それは厚みのある座枠が構造の肝となっているから。ファブリックを座枠ごと巻き込むことで構造的な要素を感じさず、ふくよかな座面としてまとめてしまうテクニックはさすがモラーといったところ。部材を少なくするという事はそれだけ技術力が求められるが、およそ50年の時を経ても尚、私たちの前に立派に存在することこそその証である。
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