HIKE

アノニマスながら独特の存在感を放っているヴィンテージソファ。どの様なインスピレーションから構築されたデザインなのか、想像力を掻きたてられる魅力がこのソファにはある。

大空を羽ばたく鳥のように繊細な脚は華奢にみえますが、仁王立ちするように外側に開いており、これは「四方転び」という横揺れに強い構造。男性が腰かけても何ら不安感はない。脚先にゆくにつれてシャープなテーパーがつけられているところも特徴的でしょう。全体がファブリックで包まれたデザインながら肘掛けはチーク材が露出している。ハンス・ウェグナーのベアチェアも同様の肘掛けをしておりそこをネイルと呼ぶが、このソファならばウイング（羽）とでも形容しようか。前方にせり出した流線形状は腕馴染みがよく座り心地は申し分ない。

ここまででも意匠に傾倒することのない道具としての確かさが感じとれるが、座り心地を決定づける本体も確かめてみよう。腰を降ろしてみると、意外と量感のあるシートは豊かな弾力でお尻を受け止める。後方へ緩やかに傾斜させることで、自然と上半身を背もたれに導いてくれる感覚。セミハイバックの背もたれは肩辺りまでサポートしてくれますから、体の力を開放して寛ぐことができるでしょう。サイズ感は2シート相当。コンパクトですが上記の通り安楽性は十分なのでリビングのメインシートに是非どうぞ。もしくは書斎でゆったり1人で寛ぐのもいい。

ファブリックはイギリスのファブリックメーカーSandersonで張替済み。上質なウールで紡績され、フェルトのように僅かに起毛した触感はふわふわと心地がいい。また、光のあたり方で繊維の見え方が変わり奥深さを感じる点も魅力的な生地でしょう。ダークトーンのグレーが美しきアウトラインをいっそう際立てている。

コメント：中島

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