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洗練された佇まいのイージーチェア「PK22」。豊富な木材資源を活かした木工家具が主流の1950年代デンマーク家具文化において、金属に魅せられたポール・ケアホルムによってデザインされた。若くして家具工房で修業を積み、ハンス・J・ウェグナーの事務所にも身を置くなど、以外にも木工との繋がりは深い。培った経験を活かして自身のデザイン活動をスタートさせる際、目にとまったものが建築に使われる金属。普段は目に見えない巨大な構造体を、意匠性が要求される家具デザインにまで昇華させることは容易ではなかったはず。極限まで要素を排除したクールなデザインとは反対に、熱い情熱と独特の美観を持ち合わせていたのでしょう。

脚部や構造体はステンレススチール。フラットバーを成形したことで正面からはサテン仕上げのしっとりとした輝きを感じつつ、サイドショットでは繊細なシルエットを表現した造りに。木工では構築できない金属ならではのこのデザインこそ、ポール・ケアホルムを象徴している。座面下には弓なりのパーツが備わり、荷重を上手に分散。各部材はボルトで連結されていることから製作工程や輸送についても考慮されており、検証を重ねながらミニマルを追求し、美しさと道具としての確かさを両立した秀逸な作品と言えるでしょう。1957年に開催されたミラノ・トリエンナーレではグランプリを受賞。PK22は世界的な評価を得て、現代でも作り続けられるベストセラーのひとつとなる。こちらはフリッツ・ハンセンにて1984年に製造された。

それでは座り心地を試してみよう。まずシートに手をついてみるとレザーの柔らかな触感が心地よい。厳選された“ホンモノ”であることが皮膚を通して伝わってくる。ゆっくり体を預けてみると、レザーシートはしっかりとした弾力で受け止めてくれた。華奢な見た目に反して剛性感は申し分ない。後方への傾斜が付けられている為、上半身は自然と背もたれへ。シートポジションはやや低めで、足を前方に投げ出すようにするといつまでも座っていられそうなほどに快適。緊張感のある意匠とは反して、体をリラックスへと導いてくれる懐の広さは流石の一言。

硬質な素材感に合わせて、大理石やガラストップのソファテーブルなどとコーディネートするとモダンな印象となるが、ローズウッドなど重厚な木材とも相性がいい。厳選した家具とシンプルな合わせを楽しんでいただきたい。軽やかさを活かしてベッドルームや書斎などの限られたスペースにもお勧め。あるいは壁際に1脚佇ませておくだけでオブジェの如く絵になりますから、じっくりと対峙してケアホルムの思考に触れてみるのもいい。

レザーは概ね綺麗ですが、やや使用感があるヴィンテージコンディション。メンテナンスでは、クリーニング後に、レザークリームでトリートメントを済ませていますから、まだまだこれからが本番といった様子。ご心配な方は現物確認後にお申し込みください。

画像掲載分はヴィンテージ品。在庫は2脚(1脚¥440,000)。新品(¥610.500)のご注文も承れます。製造元は同じくフリッツ・ハンセン社。

追記:1台は販売済み。残り1台となりました。


コメント:中島(ショップスタッフ)


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Easy Chair PK22
20D06-0162-2
W630 D640 H740 SH350
Poul Kjeaholm / Fritz Hansen / Denmark / 1956
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