HIKE

1960年代、デンマーク製のブックケース。アノニマスながらも、ローズウッドの木目と深みのある色合いを活かした端正なデザインが目を引く、完成度の高い一品。

ディテールもさることながら、まず印象的なのはその絶妙なサイズ感だろう。横幅は1440mmとゆったりとつくられているが、高さは1320mmと成人男性の胸の高さ程度に抑えられ、奥行も280mmと深すぎず浅すぎずのサイズ。上部に目線の抜けがあることに加え、テーパード仕様の脚で全体をスッと持ち上げていることで、上質なモノの持つ豊かな存在感は保ちつつも、軽やかで圧迫感を感じさせない。

デザインは全体的にミニマルにまとめられているが、木口がわずかに丸みを帯びて処理されているため、シャープであると同時に空間にやわらかい印象を与えてくれる。光を受けると木口の繊細なカーブが一層際立ち、なんとも美しい表情を見せる。現在では希少な樹種となってしまったローズウッドは力強い木目が特徴的で、このブックケースでもそれが存分に活かされている。特に背板の美しさは圧倒的で、デカルコマニー(*1)のようなその自然の造形は見ていてほれぼれとしてしまう。

印象は軽やかでも造りはしっかりしており、アートブックのような重い本も安心して入れられる。棚板は可動式で、約30mm刻みの細かい調節が可能。また、高さ調節用の金具は棚板の内部に隠れる仕様になっているため、背板の美しい木目が損なわれることもない。ブックケースとしての収納力は十分だが、背板の木目が映えるように余白を活かしたディスプレイにするのもオススメ。背板の木目は座ったときの目線の高さから特によく見えるため、たとえばお気に入りのアートブックや小物などを配し、リビングのソファから眺められる位置に置いてもいいだろう。

*1 デカルコマニー

コメント：大塚

新型コロナウイルス感染対策について

2000年のオープン以来、「物質の循環」「自然との共生」をメインテーマに、ヴィンテージ家具の永続的使用を追求し続けています。末長くお使いいただけますよう自社プロスタッフが可能な限りのメンテナンスを施しました。ご検討、ご購入前に下記を一読していただけますようお願いします。

ハイク品質と特性　　生地張替　　サポート　　木材種類　　無断転載について