HIKE

スウェーデン人デザイナーLena Larsson(リナ・ラーション)によるロッキングチェア。彼女はスウェーデンの家具の父と称される巨匠カール・マルムステンの元で家具製作を学び、北欧家具の黄金期と呼ばれる60年代に活躍した数少ない女性デザイナーとして知られる。晩年には、スウェーデンのインテリア雑誌「Alltihemmet」の編集長を務めるなどその才能は多岐にわたる。

まるでハープの様に優雅な14本のスラリと伸びたスポークからなる背もたれが印象的。1本1本の角度、長さを計算された緻密な造りで、背中に驚くほどぴったりと沿う。視界の抜けも良く軽快な印象を与え、自然光や照明によって床や壁に映し出される影もまた美しい。

座面はゆったりとした広さで、お尻の形状に沿う様に少しの窪みがつけられている。座面高は低く抑えられ、背もたれも背中全体を包み込むようなデザインにより、座ると自然とリラックスした姿勢へと誘われる。スポークの角度や座面のカーブが巧みにデザインされているためか、クッション材がなくとも座り心地はまろやかで、有機的なアームに両腕も預けて自分のリズムでゆらゆら、としていると何だか夢見心地な気分に。緩やかな弧を描いた長いロッキングレッグは、座面を支える丸みを帯びたフレーミングと適切な角度で組まれ、力を分散させるような見事な構造。

家の中にいる時間が増えるこれからの季節、ブランケットやシープカバーに包まれながら心地良い揺れの中で過ごす時間はまさに至福の時。

コメント：谷山

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