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ピーター・ヴィッツ&オムラ・ミュルゴー・ニールセンによるキャビネット。派手さはない、けれど二人が表現する美意識やデザイン・造りの確かさが滲み出ているのだろう。壁面に佇むこのキャビネットの前へと歩みが自然と向かってしまう。一緒にその魅力を探っていきましょう。

ピーター・ヴィッツは工芸学校で建築を学んだ後に、間もなくして自身の設計事務所を設立。オルラ・M・ニールセンは家具職人の修行後に、コーア・クリントやアルネ・ヤコブセンの事務所で勤務。1944年には共同でHvidt&Mølgaard社を開設し、建築、内装設計、家具デザインなど多岐に活躍した。こちらはその2人が1956年、Soborg Moblerのためにデザインを手掛けたもの。

それではキャビネットを見ていきましょう。高さを抑えながらも、幅1350mmのコンパクトさは珍しいサイズ感。限られたスペースにもレイアウトし易く、都市部の住宅には重宝されるに違いない。全体はチーク材で構成。深みの増した赤みのある木肌に水の流れの様な黒い木目が穏やかな気持ちにさせてくれる。すると、天板の両端に組手があることに気付いた。これは珍しいことで、理由としては当時構造的な要素は隠すのが一般的とされていたが、あえて意匠として取り入れていることと、本体が無垢材で構成されていること。木とじっくり向き合って、精度の高い技術力を有したファクトリーならでは技と言えるでしょう。正面側の小口も斜めに角度が付けられ立体感を演出。まるでキャビネット前面が額装されたように魅せる秀逸なデザイン。

浅い引出しが3杯と深い引出しが2杯。ニコっと笑ったように削り出されたハンドルは手がかりがよく、軽い力で開け閉めが可能。最上段には仕切り板が設けられ、そこにはフェルトが。腕時計やメガネ、あるいはカトラリーを収納するのにちょうどよさそう。実はここにも組手が用いられていて、前板と箱部分が包み蟻組にて連結されている。物を収めてしまえば隠れてしまう引出し内部にまでチーク材を用いる拘りようですから、こうした細かいところも抜かりない。

左に目を移せば、皆さま気になっていたでろう蛇腹扉。幾重にも細く裂いた棒状の材が連なって面を構成しており、独特の存在感を放っている。これぞ機能美、構造美と形容されるにふさわしい美しさ。縦のスリットに指を掛けてスライドしてみれば、スルスルと滑らかに動作。蛇腹扉は最も精度の要する開閉方法のひとつであるが、半世紀の時を経ても問題なく機能する事実には心から感心してしまう。開いた時に天板の裏を覗いてみると、横に1本無垢材が渡っており、これが天板の反り止めの役割を果たしているのが功を奏しているのだろう。可動棚は1枚セット。もちろん中までチーク材である。

最後に脚部。四方に幕板が回っており荷重には安心感がありそう。四本脚に対し、筋交い状の貫が横揺れに対して効いている。これも家具としては珍しく、一般的な貫と比べて軽やかさが感じられる。この脚はボルトオンで取り付けられており、斜めの貫も含めてバラせるノックダウン構造。これは実物を見てみるとハッさせられるのだが、中々秀逸なギミックがあるので気になる方は是非店頭でご覧いただきたい。

高さが抑えられているのでリビングルームが最適と思いますが、テーブルやデスクから少し頭を出すサイズ感ですから、ダイニングや書斎にもどうぞ。コンパクトながらレイアウトの象徴的な存在としてコーディネートを引き締めてくれそうです。

蛇腹扉に鍵穴がありあすが今回鍵は付属しません。扉の開閉には支障ありませんのでご安心ください。


コメント:中島


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Peter Hvidt & Orla Molgaard Nielsen / Soborg Mobler / Denmark / 1956 / Teak Wood
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