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ハンス・ウェグナーによるイージーチェアGE240。ゲタマで作られたウェグナーのイージーチェアと言えば、骨太で、量感のあるGE290を想い浮かべるのだが、対してこちらのGE240は丸みのあるウッドフレームが特徴的。それは50年代に流線形の家具が流行していた影響を受けデザインされたものと思われる。

このイージーチェアが誕生する数年前を振り返ると、1951年にヨハネス・ハンセン社で製作されたイージーチェア、その名もブッケストーレン(湾曲した椅子)にGE240は酷似している。数年間に2社でいくつかのバリエーションを経て、GE240が製作されているのだが、自身の作品を常に昇華させ、見つめ直すウェグナーの向上心が垣間見える。ゲタマはマットレスメーカーのため、ブッケストーレンと比べるとクッションの造りは一目瞭然。肉厚のスプリング入りクッションが見るからに快適そうである。

さっそく腰を降ろしてみる。コシのある座り心地というと、うどんのようだが、最初にウレタンの優しい触感のあとに、スプリングフレームがお尻をしっかり受け止めてくれている。こねりの浅いうどんの様な頼りなさはなく、顎が疲れるほどのしつこさもない、まさに絶妙に調整された座り心地。国内で張替、ウレタンの交換を済ませていますが、肝となるスプリングは調整をしてそのまま使用。座の角度は控えめにつけられ、安楽性を感じながらも、姿勢が崩れ過ぎることもない。

意匠を左右するウッドフレームは、角がなく思わず手を添わせたくなる滑らかなフォルム。特に丁寧に削り出されている肘掛けの造形美から、嗜好品であるシガー(葉巻)という愛称で呼ばれることも。肘掛け後方から背を支えるように備え付けられた部材は、背もたれの強度を確保しながら、無垢材の反りを抑える役割を担う。構造的な要素を大胆に意匠として魅せるところはウェグナーらしい。

そして脚はひと工夫加えて、中央部に膨らみを持たせた造りをしている。これはギリシャの古い神殿の柱などに用いられる建築技法エンタシスからインスピレーションされ、このイージーチェアの繊細さや美しさを象徴するポイントになっている。オーク無垢材は長い年月を感じさせる深い色合いに経年変化。構造、そして職人の技術力なくしてこの表情はありえない。

前途の通り、張地、内部ウレタンは新たに交換済み。飴色のオークフレームにグレートーンのクッションを合わせることで、落ち着いた雰囲気となり現代の生活にも違和感なくマッチ。フレームの繊細さも一層引き立ったように感じる。

追記:2脚販売済。


コメント:萱野


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Hans J Wegner / Getama / Denmark / 1955 / Oak wood
下記価格は1脚単価
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