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明時代の幻の絨毯を日本の美意識で再構築したラグ「MUNI CARPETS」。その幻の絨毯は現代ではクラシカル・チャイニーズラグと呼ばれ、およそ400年前に宮廷献上品として織られていたもの。日本の侘び寂び文化の原点とも呼ぶべき漢民族の感性が反映され奥行きのある美しさが魅力のひとつ。20世紀初頭、清王朝の衰退とともに宮廷の奥深くに眠っていたそれらは、名だたる著名人らに注目され、ココ・シャネルやフランク・ロイド・ライトなど欧米のトップクリエイターを魅了してきた。

そんなクラシカル・チャイニーズラグと1987年に出会ったのがMUNI CARPETSオーナーの楠戸謙二氏。清王朝の滅亡に伴い途絶えたクラシカル・チャイニーズラグを、現代の生活に蘇らせたいという強い想いから、1989年にMUNI CARPETS設立。現地のパートナー張力新にも出会い、400年前の絨毯を蘇らせるためクラシカル・チャイニーズラグの蒐集(しゅうしゅう)の他、世界の美術館に協力を求め実物をサンプリングしたり、書籍や文献を頼りに資料を集めるなど、まさにゼロからのスタートだった。手紡ぎ技術や天然染料の研究にも力を注ぎ、シルクロードの甘粛省(かんしゅくしょう)に工房「漢氈居(かんせんきょ)」を築く。この地はかつてクラシカル・チャイニーズラグの産地であり、黄河上流の豊かな自然で育まれた上質な羊毛、そして天然染料の発色に大きく影響する祁連(きれん)山脈からの雪解け水が存在する。この歴史的な聖地で製作することは本来の姿を表現する上で欠かすことの出来ない大切な工程であることが分かる。

MUNI CARPETSはただ当時の絨毯を蘇らせるだけでなく、文頭でもお伝えしたように再構築されたもの。長年の研究によりクラシカル・チャイニーズラグの美しさを熟知した上で、日本人の美意識を通して現代の生活文化にあったモダンな文様へとブラッシュアップ。用いられる文様は蓮や松、桃などの自然界の植物から、龍や麒麟など神話に登場する霊獣なども登場。その一つ一つには古から伝わる意味が込められている。

上記の背景を踏まえた上で、MUNI CARPETSの作りにクローズアップしてみよう。使用される灘羊毛(タンヤンウール)は繊維が15ミクロン以下のカシミヤ同等の細かさの為、肌に刺さる感覚が無く、素肌で触れても心地良い。また、ウールは表面のうろこ状の組織(スケール)が自ら開閉し表面の湿度調整を行うので1年を通して快適に使うことが可能。しかも灘羊は漢方薬にも使用される甘草しか食べないので、獣臭が無いうえに上品な光沢を帯びている。そして、この上質なウールを手紡ぎで糸にしていく。手紡ぎ糸は機械で紡績した糸に比べ、撚りをかけるときに素材が受けるダメージが少なく、ウールの繊維同士がしっかりと絡みつくので、摩擦に強く、弾力に富む。素材の魅力を最大限に活かすのは人の手であると再認識させられる。

手紡ぎの糸を染めるのは全て植物染料。媒染などの全工程において化学物質は一切使用しない徹底ぶり。藍、蘇芳(すおう)、槐(えんじゅ)、梔子(くちなし)等の植物で染め上げた色は野山や海、空の色と同じく、自然界に存在する色のため、安らぎを与えてくれる。さらに化学染料が経年で色褪せていくのに対し、植物染料は逆に深みが増していくのも大きな魅力。しかしながら、気温や水温、植物の状態等の影響で意図した色が容易には出ないので、洗いと乾燥を何度も繰り返す、まさに熟練の技術と根気が必要とされる作業だ。

また、コットンの縦糸に手結びで織りあげていく地道な手法は欧米では「絨毯の最高峰」とも呼ばれ、現代でもこれを超える製法はなく、緻密な文様を滑らかに表現でき、しなやかな上、堅牢な絨毯が造り出せる。さらに100年の仕様に耐え得るよう当時よりも高密度に仕上げることで弾力と強度を確保。パイルカットはバリカンを使用せず、鋏でカットすることで断面に丸みが出て心地良い柔らかさが生まれると共に文様に陰影が加わり、より豊かな表情に。そして、長年使用することで毛先のパイルが少しずつ開いて肌触りはより滑らかになり、絹糸のように光沢も増していくので、風合いの変化を楽しみながら末永く愛用することができるだろう。

コメント : 萱野

009A¥170,000(税込¥187,200)、750×550
093E¥290,000(税込¥319,000)、910×610
041(858)¥257,000 (税込¥282,700)、910×610
018B-2¥330,000(税込¥363,000)、1220×610
009E¥310,000(税込¥341,000)、1220×610
009C¥580,000 (税込¥638,000)、1520×910
063B¥740,000(税込¥814,000)、1830×910
018A¥1,180,000(税込¥1,298,000)、1980×1370
072¥2,500,000(税込2,750,000)、2740×1830
087¥2,800,000(税込¥3,080,000)、2740×1830


絨毯の文様にはそれぞれ意味や願いが込められています。以下で解説いたします。


雲の模様は、如意文または雲気文と呼ばれ、「雲」と「運」が同発音であることから天と地の気が調和し人々に幸せがもたらされること(気運)を願った明時代の代表的な文様。
該当商品:072

蝙蝠(こうもり)
蝙蝠(こうもり)は中国語で「Blan-fu」、幸福を「Xing-fu」と発音する。福「fu」の発音が同じことから中国では古来より幸福の象徴。
該当商品:072

唐草
唐草は無限を意味し、枝が絡まり伸びた意匠は「代々続く」という意味がある。
該当商品:093E・087

方格花文
中央の文様は中国では「方格花文」、日本では「霰文(あられ)」・「市松文」などと呼ばれる文様で、古来魔除けの願いが込められ、永きにわたり用いられてきた。日本で市松の名が知れ渡ったのは、江戸時代中期、上方歌舞伎役者・佐野川市松が舞台衣装の袴に愛用したところ、女性がこぞって小袖にしたほど大流行したことからと言われている。
該当商品:063B


蓮の花は、沢山の種を実らせる生態や「蓮」と「連」が中国語「Lia‘n」と同発音であることから、幸福な結婚と子孫繁栄への願いが込められている。仏教伝来の後には泥の中から綺麗な花を咲かせる姿から清らかさや美しさの象徴として美術工芸品などに多く描かれた。
該当商品:009A・093E・018B-2・009E・009C・018A・072・087

雷文
雷文(回文)は古代文様の最も代表的な文様で稲妻を表し、雨をもたらし万物への恵みを願う意味が込められた文様。欧米では「グリークキー」と呼ばれ、建築物にも多く用いられている。
該当商品:018B-2・063B・018A・087

草龍文
明時代の代表的な意匠で、植物と龍が一体化した文様。古代中国では、龍は最高位の神獣であり、「力」と「善」の守護神。また武勇と力を表し、自然の力の形象化身とみなされ崇拝されてきた。魔除けとしてお寺の天井画や柱などに用いられ、日本人にとっても馴染み深い意匠である。
該当商品:041(858)

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MUNI CARPETS
Import
750 × 550
China
下記価格は画像009Aの場合
170,000円(税込187,000円)