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こちらのキャビネットを手掛けたのはMartin Visser(マーティン・ヴィッサー)とWalter Antonis(ウォルター・アントニス)。共にオランダを代表するファクトリーであるSpectrumとの協働で様々な家具を生み出した。特にヴィッサーはSpectrumの中核を担った人物。父親が建築家、兄弟は彫刻家とアートコレクターのため、幼いころから幅広い知識を有し、またアートを収集する中でヘリット・トーマス・リートフェルトと出会ったことから家具デザインにも精通していった経歴を持つ。ヴィッサーがチーフデザイナーとしてSpectrumに招聘されたことで、それまでスカンジナビアの影響を強く受けた家具を製作していた同社が、金属を使用したり、装飾を排しミニマルな趣向へと変化し、機能主義的なスタイルを確立していった功績は大きい。

こちらのキャビネットも例に漏れず木材と金属を組み合わせており、凛とした佇まい。顔となる2枚の引戸には彼らのこだわりが詰まっている。例えば、左右の扉で木目を横方向と縦方向に流れを変えている。一見奇抜な手法だが、ミニマルな意匠により優れたアクセントとしてうまくまとめられている点はお見事。さらに特筆すべきは引戸はリバーシブルのため、反転させるとホワイトペインティングとなり、ローボード全体の表情を一変させる。趣味趣向やライフスタイルの変化に柔軟に対応できるデザインに脱帽だ。また、金属の使い方も秀逸で、脚部やハンドルに金属を用いたキャビネットはしばしば見られるが、こちらは本体に2本の美しいラインが通る。このラインにより、木材と金属の親和性が高まると共に程良い緊張感をもたらしている。

それでは内部を見ていこう。左側は7枚のトレーと可動棚が1枚セット。トレーには書類や薬、筆記用具など細々したものを収納可能で必要な時にトレーごとデスクやテーブルに持っていくのも便利。右側は可動棚が3枚セットされており、書籍や高さのあるグラスなどをたっぷり仕舞える。ボックスを用意してカテゴリーごとに収納することもお勧め。

デザイナーの美意識が息づく確かな1台は空間の質をより高めてくれるだろう。室内の物を集約できる包容力も頼もしい限りだ。


コメント:萱野


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19G09-0085
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Martin Visser & Walter Antonis / Spectrum Bergeijk / Netherlands / 1960's / Rose wood
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