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アルヴァ・アアルトによる小ぶりなベンチ。

アルヴァ・アアルトは1898年フィンランド生まれの建築家。33年にパイミオのサナトリウムを設計し、モダンさと細やかな空間デザインで高い評価を得る。これが出世作となり、数々のビッグプロジェクトを手掛けていくことに。一方、プロダクトデザイナーとしても知られるアアルトは、35年に妻アノイや友人らと共に、世界に優れた家具などを紹介し販売するアルテック社を設立。特に本作品はそんな彼の代表作と言えるでしょう。

フィンランドのムンキニエミに現在も大切に残されるアアルトのオフィスを訪れると、デスクの上にオリジナルで作られたと思われる小さなタイルや扉のハンドルなどのサンプルが沢山並んでいる。住宅ならまだしも、病院や商業施設など大きな建築物の細部に至るまで自身でデザインをしていたということ。これは実際にフィンランドに点在するアアルトの遺作に訪れるとその拘りがよく分かる。欲しいものがなければ作ってしまおう!とスタッフと話をしていたのでしょうか。そんな彼は完璧主義者と言えるのかもしれない。

このベンチにもその特徴は垣間見える。それがLレッグやアアルトレッグと呼ばれる曲木の脚。国土の2/3が森林とされるフィンランドに多く自生するバーチ材に着目し、鉄よりも強靭で大量生産にも対応できる技術はないかと研究して生まれたもの。当時の木工家具はひとりの職人がつきっきりで一つずつ製作することが主流でしたから、こうした考え方は建築家であるアアルトならではのこと。

使用する木材は前途の通り良質なフィンランドバーチ材。多くの樹種が育つフィンランドでは樹木の成長が遅く、密度の濃い幹に成長する。それを何十年も長い年月をかけてゆっくりと乾燥させていますから、狂いが少なく加工性にも優れているのでしょう。テーブルやチェアなど様々な家具にも応用出来る汎用性の高さも秀逸なところ。

座面は四隅の角に大きく丸みをつけることで脚との親和性が高められている。厚みのある無垢材で構成された格子状の座面はお尻の横ズレを抑制しつつ、軽量性も確保。各部材の角は僅かに角を丸められている為、フラットな板座ですけれどソフトなお尻あたりである。

ベンチはチェアのようにテーブルに向って座るだけでなく両足を上げたり、跨いだりと色んな座り方ができるので、クルっと座り直してリビングにいる家族と団欒を楽しんだりと、コミュニケーションの幅が広がりそう。もしかすると、隣にペットがヒョイとやってきて、ゴハンをおねだりされてしまうかもしれない。或いはフラットな座面をいかして窓辺で植物などを飾っておく台とするのもいい。


コメント:中島


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Bench
22D09-0074
W730 D400 H440
Arvar Aalto / Artek / Finland / 1945 / Birch wood
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