HIKE

1960年代のデンマーク。都市部では決して広くなかった住宅事情の中で生まれたこのエクステンション（拡張式）テーブルは、生活を機能的にする優れたデザインであった。普段は1人、もしくはパートナーと2人という状況であっても、休日には友人を招いて甘いスイーツとコーヒーなどを楽しむヒュッゲやフィーカといった習慣が北欧にはあり、そんな時にサッと広がるエクステンションテーブルは重宝する。

私たちの生活でもその機能性は有効である。特に都市部のコンパクトな間取りでは、普段の生活動線をしっかり確保しながらも必要に応じてワンアクションで出し入れできるのは嬉しい。また、日中はホームオフィスとしてダイニングテーブルを活用する場合でも、沢山の資料を広げられるので仕事が捗ることだろう。

使用されるチーク材は、長い年月を経た深みある色艶にヴィンテージの風格もまとっている。各辺は僅かにアーチを描いた造形に。それと調和するように幕板にも曲線が表現されている。テーパーレッグも相まって繊細な印象をうける綺麗なテーブルだ。メイン天板に対してサブ天板は身をひそめるようにセットバックしている為、天板が薄くスマートに感じられるのも秀逸。

片側だけ出しても平行を保つ作りの為、人数やお料理の量によって柔軟に使い分けできるのは嬉しい。メンテナンスによって調整したスライドレールはスムーズに動作。両側のサブ天板を引出せばおよそW1930の広いテーブルとなり、使用する椅子サイズによっては、最大6人で使用可能。

長い年月を経ても尚、愛される北欧のスタンダードなテーブル。だが、スタンダード＝普通ではなく、美しい木目のチーク材は現代で貴重となり、そんな大切な資源を優れたデザインで今に残すスカンジナビアデザインの層の厚さを表しているようだ。

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コメント : 中島

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