HIKE

スウェーデン人デザイナー、Yngve Ekstromによるチェア「Kontiki」。同氏が手掛けたLaminoというイージーチェアは1945年に創業した自身の家具メーカーで製作され、現地のインテリア誌で20世紀を代表する家具として選出されるほど親しまれている。本作は他メーカーによるものだが、線の細さや先細りした背もたれのディテールなどは確かにLaminoと通ずる部分がありそうだ。

Kontikiの第一印象は限りなくシンプルであること。チェアを表す最低限の要素で構成されていると言っていいだろう。だが、何だか堂々とした印象を受けるのはなぜだろう。窓から差し込む光を受けとめた背もたれがチェアを逞しく見せているのだろうか。私は意匠的な観点においても 最低限であることが要因だと思う。真っすぐに床を捉える脚は先が細くなるよう僅かにテーパーがつけられていたり、背もたれの笠木と滑らかに接続する左右フレームのディテールなど素晴らしいが、その他は至ってシンプル。華美な装飾がなくとも、長い長い年月が育んだ天然木の風合いが放つ雰囲気がそう見せている。さらに、チェアに形作られてから半世紀経化。飴色に変化したオーク材のフレームはヴィンテージらしい風格も纏っているようだ。

腰をおろしてみると、背もたれはやや後傾し、笠木は緩やかなカーブを描いて背中へのフィット感を高めている。そして、座面は、板にウレタンを置いて生地で包んだ構造をしており、お尻を優しく受け止めた後は沈み込みすぎることなく上体を支持。幅、奥行きにもゆとりがあり姿勢に窮屈感はない。また、座枠ごと生地で包んでいるのは前述した要素を抑える話と同意であろう。脚は座面裏でボルト固定されており、自身で締め直しが可能。椅子は使用を続けているとどうしても接合部分が緩んでくるため、嬉しい配慮である。

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コメント： 中島

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