HIKE

1975年に美術工芸学校の家具学科を卒業する1年程前には自身のデザイン事務所を設立している実力派。彼は主にチェアをデザインしており、中でも成形合板を使い、滑らかな造形を表現することを得意としている。その点を考慮すると本作も彼の力量が発揮された秀作だろう。

Bruno MathssonやAlvar Aalto、Charles & Ray Eamesなどの世界的デザイナーも用いた成形合板は単板と呼ばれる薄くスライスした板を重ね合わせ、型に入れて熱を加えながらプレス加工をして作られるため、削り出しでは難しい大胆な曲線を生み出すことが可能。この技術により、シートはボディラインに寄り添う優美な曲線を描く。座面から背もたれまで一続きで構成されていてサイドショットの軽やかさは見事である。また、美しさだけでなく、人間工学に基づいて設計されたシートはウェービングベルトの程良いしなりも合わさり、クッションは無くても快適な掛け心地だ。

アーム部分は成形合板ならではの曲線美に加え、脚部との接合部に三角形の木片（コマ）を挟み込む（コマ入れ）という技法を用いている。コマ入れにより、アームと脚部は一体のパーツとなり、その強度は無垢材を超えるといわれる。また、フレームの表面はビーチ材に着色を施し、チークのような色合いだが、コマと挟み込む単板は白木の状態なので、コントラストが生まれ、意匠的な美しさも兼ねている点は秀逸。

見た目に違わず軽量なため、移動は容易。そのため、メインはリビングや書斎のパーソナルチェアとして活用し、晴れた日にはバルコニーやデッキに出して、読書やティータイムを楽しむのもお勧め。

ウェービングベルトは国内で新規に交換済みです。ブラックを採用することで木部の温かみだけでなく、引き締まったモダンな印象となりました。

掲載前に1脚販売済み。在庫は1脚となります。

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コメント：萱野

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