SOLD OUTArchives

APストーレン製のイージーチェア「ベアチェア」。1950年からハンス・ウェグナー作品を数多く製作する同社の最も古い時期にデザインされた椅子の一つ。

ウェグナーはデザインの依頼があったら、そのファクトリーの体質に適したデザインを心がけていたそう。APストーレンは椅子張りを得意とするからこそ、複雑な曲線美と、木フレームのみでは表しきれない量感を表現した安楽椅子を設計したのでしょう。その技術力を裏付ける逸話がある。現在ではライセンスを引継いだPP Moblerが製作しているが、張りの工程作業でかなり苦労した。そこでヤコブセンのエッグチェアを手掛けていた優秀な椅子張り職人の女性2人に声をかけベアチェアの張り仕事を担ってもらっているが、彼女ら曰く「エッグ5台分の時間をかけて、ベアはやっと1台仕上がる」とのこと。職人冥利に尽きるのか、職人泣かせなのかは張った本人にしか分からない。むろん前者であることを信じたいが、1台ずつ手間暇をかけて丁寧に手作業される特別な椅子であることがよく分かる。

座り心地を試してみよう。「熊が手を広げているようだ」と形容される太いアームに、手をついて全身で負荷をかけてもビクともしない安定感。勢いよくドスンッと座ってみるも、後方に伸びた脚のおかげで揺らぐことなく受け止めてくれる。座のクッションは勢いを瞬時に吸収し、お尻を包むようにホールド。座のクッション材にはウレタンフォームが使われている。対して背中には馬毛やパームなどの天然素材を使用。反発力を抑えて、深いところまで招き入れてくれる感覚だ。両サイドのウイングと、太いアームも相まって絶対的な安心感を与えてくれる。大柄な私でもゆとりを感じる懐の深さは座りかたも様々。アームの上下に足を投げ出し、対角にあるウイングに頭を預けて斜め座りしたり、大きな座面の上で胡坐(あぐら)をかいたりと自由な姿勢が取れる。これなら1日の大半をこの椅子で過ごせるといっても大げさに感じない。まさに安楽椅子の極みというべき椅子だ。

生地は当時のまま。コンディションは良好で、横糸にイエローを、縦糸にはオレンジのウールで平織された暖かみの感じる生地。ネイル(アームの先)に用いられたチーク材、そして脚のオーク材は、共にかなり長い年月が経過したと思われる深い色味に変化し、生地との相性は素晴らしい。

価格は現状お渡しの価格。張替をご希望の方は別途¥100,000+Taxにてお好きな生地で張替が可能です。併せて内部クッション材の交換、調整も行います。


コメント : 中島(ショップスタッフ)


2000年のオープン以来、「物質の循環」「自然との共生」をメインテーマに、ヴィンテージ家具の永続的使用を追求し続けています。末長くお使いいただけますよう自社プロスタッフが可能な限りのメンテナンスを施しました。ご検討、ご購入前に下記を一読していただけますようお願いします。

木部補修  生地張替  サポート  木材種類  無断転載について

Easy Chair
16D06-0003
W900 D900 H1000 SH430 配送料金Dランク
Hans J Wegner / AP Stolen / Denmark / 1951 / Teak & Oak wood
SOLD OUT