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ハンス・ウェグナーによるダイニングテーブル「AT309」。製作を手掛けたAndreas Tuck社とは50-60年代に沢山のテーブルを残しており、こちらは比較的初期にデザインされた希少なモデル。椅子作品に注目が集まるウェグナーだがテーブルのデザインも秀逸。同年代に手掛けたAT305というデスクは晩年、病室にまで持ち込むほど自身でも納得の作品であった。大胆な素材使いからくる重厚感は彼らしく、良質な素材選びにこだわっていますから特に天板のチーク材は表情はとても魅力的に感じられる。

一見無垢材かと見間違うほど綺麗に仕上げられた天板。しっかりと厚みがあり、小口は丸められているので天然木の表情がよく伝わってくる。両側に大きく垂れたバタフライ天板を開くことで500mmずつ拡張する仕組み。最大8名利用が可能。その動作は簡単で、垂れた天板を起こし、天板裏にあるサポートパーツを引き出すだけ。急な来客でも対応できる利便性は嬉しいところ。

また、一般的なメイン天板の下にスペア天板が重なっているスライド拡張方式の場合、光や空気に触れずにスペア天板が隠れているため、メイン天板とは異なる経年変化をしてしまう。それに対し、バタフライ方式は色合いに統一感があり、拡張時に違和感を感じさせないのはメリットと言える。また、木目を短辺と並行に使っているのも、継ぎ目を目立たせない工夫なのだろう。

もっとも特徴的な脚は交差させることで天板との設置面積を増やし、幕板がなくとも強固に連結。幕板のない革新的な発想はとても軽やかな印象を与えつつ、アームチェアの肘掛けとも干渉しない利点もある。さらに言えば部材を減らすことでコストを削減、木材資源への配慮にまで考えが及んでいるとしたらウェグナーの思慮深さを感じずにはいられない。

中央を通る真鍮製の貫は荷重や経年変化による天板の垂れを防ぐために、“く”の字に曲がり天板裏とも接続している。ここで異素材を用いる発想はとてもユニークで、風合いの増した真鍮の風合いはヴィンテージファンには垂涎ものだろう。長い年月を経てすっかり飴色に変化したオーク無垢材の脚とも素晴らしい相性。

細部にまでウェグナーのこだわりが詰まった一台であることが伝わったでしょうか。木を理解し、テーブルの常識に捕らわれない発想はさすがの一言。しかし、イマジネーションだけでなく検証を重ね、確かな品質にまで昇華させるところも含めて評価されるべきでしょう。「椅子の巨匠」そう称される彼ですが、椅子とかわらぬ情熱がこのテーブルには感じられる。現代でこうして堂々たる姿を見せてくれていることこそが何よりの証。


コメント:中島


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Hans J Wegner / Andreas Tuck / Denmark / 1960's / Teak & Oak wood
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