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自らマイスター(職人)としての技術を持ち、木への理解も深いハンス・ウェグナーは生涯500以上ものチェアをデザインした。それを実現できたのは良きメーカー、良き職人と出会えたことが大きい。事実、ウェグナーは良いデザイナーになるためには良い職人と共同作業をする事が大切と公言していたと聞く。こちらのGE530ソファは、デンマークのマットレスメーカーGETAMA社と手を組み1973年に発表されたモデル。

使用される木材は、オーク材に含まれるタンニンに働きかけ色を深くし仕上げられたスモークドオーク。オーク材の力強い木目を持ちながら、チークやローズウッドの家具とも相性の良い材料としてとても重宝された。一見すると無垢材を曲げたように見えるアームだが、実は無垢材を5mm程度の厚みに割き、積層させ、熱と負荷を加えながら整形、接着する方法で亀裂一つ入ることなくご覧の通り絶妙なカーブを表現している。アームから床に伸びる脚は、ウェグナーらしい安定感を感じる力強い佇まい。接合部は正面から見た際にアームと同じようにフラットに見えるように設計され、一体感と優美さを演出する。

腰を降ろすとクッションがお尻、背中を優しく受け入れてくれるソフトな感触。適度な角度がつけられており、上半身は自然と後方へ導かれる。低めにセッティングされたアームはベストな位置で待ちかまえ、椅子が体に馴染むような感覚で読書や映画鑑賞など長時間の着座に最適。全高は低く、視線の抜けも良好、かつバックショットも美しいため、部屋の中央で贅沢にレイアウトするのもオススメ。太いアームはホールドし易いため、立ち上がる動作が楽に感じられるだろう。たまにクッションをひっくり返して使えば生地も長持ちする。

クッション張地、ウレタンフォームは国内にて新たに交換を済ませており、生地はファブリック分野で世界的なトップブランドKvadrat社のEcriture(¥25,900/1m)をセレクト。ブークレ生地特有の立体的な織りが特徴で、そのテクスチャーは天然の石や岩面のような土っぽさを感じつつも、光を受けると僅かに光沢を発し現代的な印象を併せもつ。肌触りは柔らかく素肌で触れると心地いいので、GE530のゆとりあるシートと相まってつい横になってうたた寝をしてしまいそうだ。


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コメント: 萱野



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Hans J Wegner / Getama / Denamrk / 1973 / Smokedoak wood
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